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早稲田大学でリーダーシップ開発の授業をしているトシさんと、
定期的に対話をしている。

トシさんの授業は、来週まであるらしい。
オリンピックの関係で春学期は21日で終わりで、
そのあと1週間は補講をやるための期間。
なんで?と聞いたら、
「学生たちがやりたいっていうんだよね」
世にも奇妙な物語かと。

トシさんの授業は対面でやっている。
20人の少人数で、グループワークも多いので、
楽しみながらやろうと自分たちで思えば、
楽しく学ぶことができる。

「対面の授業に飢えてるのかな」

早稲田大学はこの春から全体の7割を対面授業に戻し、
緊急事態宣言になってもその方針は変えなかった。

対面授業では入室時のアルコール消毒や、
授業中の換気に気をつけて、念のためにドアを開けっ放しにしたりもする。
学生には登校を強制はできないので、
もし学生が一人でもオンラインを望めば、
対面とオンラインのハイブリッド型をやらないといけない。

ハイブリッドは、教員一人だけではなかなか大変な作業になる。
オンラインの学生に板書は見えているか、発言者が見えているか、
できれば教室の雰囲気も伝えてあげたい。

だからいきおい、教員は対面ではなくオンラインですませたくなる。

緊急事態宣言になって、それが開けても感染者が減らないので、
まん延防止重点措置になって、けっきょくまた緊急事態宣言に戻って。
学生によっては、1週間のうちで対面授業は2回しかない、
という状態にもなる。

いまの2年生にとって、1年生の1年間はフルオンライン。
ほぼキャンパスで過ごす時間はなかった。
2年生になっても、やっぱりオンラインは続く。
これが10月以降も、となると、
4年間の大学生生活の半分を、学校に通わないで過ごすことになる。
教室の中で、学食で、ラウンジで、キャンパスの中で、
友だちと撮った写真がほとんどない大学生活になる。
飲み会も合宿も旅行もほとんどいかない大学生活になる。

2年生のカリンに聞くと、
オンラインの授業では、先生とも学生とも言葉をかわさない。
一方的に授業が進んでいくだけ、のときも多いという。
1年生のときは、
「ホントに早稲田に入ったのかな?」
と何度も思った、という。

だから、2年生になったときの入学式が、すごくうれしかった、と。

4月1日2日、2021年度生の入学式に続いて、
4月3日、2020年度生の入学式があった。
そのとき初めて、大学に入った喜びを実感できた。

「オンラインには戻りたくない」
カリンはいう。

わたしは対面のほうが絶対いい派ではない。
どっちかというと、リモートワークでしょ派。
だけど、4年間しかない大学生にとって、
リモートの授業を自ら選ぶならまだしも、
強制的にリモートの授業しか受けられなかったら、
その学生の人生にとってどれだけの機会損失になるんだろう、
と改めて考えた。

さっさと夏休みにしたのは失敗だったかな〜。
もう1週あったのか……。