日本代表スクラム

押して走る

松島幸太朗と清宮幸太郎。
ふたりは子どものころ、同じグラウンドでラグビーしてた。
ラグビースクールのワセダクラブで。

もちろん、松島と清宮は6歳離れているから、
同じチームではない。
松島は中学生のチーム。
清宮は小学生のチーム。
が、松島も清宮も際立って目立っていた。
松島も清宮も、スペシャルな存在だった。

ところで、日本代表vsロシアのスクラム。
互いにバッチリ組んで、ピクッとも動かない。
互いに押し合ってるのに、動かない。
きれいなスクラムだった。

プロップ稲垣啓太。背番号1。
186cm 116kg
ワールドクラスの身長体重だが、
体脂肪率は10%。
116kgで10%!
どういうこと?

子どものころからサイズが大きく、
幼稚園年長で40kg超え、
小学5年生で100kg超え、
中学までは野球をしていたが、
高校(新潟工業高校)に入ってラグビーに。

丸亀製麺でうどん2000g食べるとか、
町中華では「ラーメンとラーメン」。
ラーメンのおかずにラーメンを食べる。
チャーハンをおかずに白メシを食べるのはやったことあるが、
ラーメンをおかずにラーメンを食べるのは聞いたこともない。

ということなので、高校生で130kg近くなって、
体重が重くて激しい運動をすると、
下半身が追いついていかない。
相撲取りがしばしばそうなるように、
案の定、稲垣もヒザを壊した。
ので、ダイエット。

監督からの指示は、40分の自転車通学。
稲垣、豪快にママチャリにまたがるも、
走り始めてやがてパンク。
修理してリスタートするも、ふたたびパンク。
車輪を支えるスポークもぶち折れ。
チャリを担いで登校する自転車通学に。

そのかいあって、15kg減に成功。
そのころから、「走るプロップ」を目指した。

かつてのラグビーでは、プロップはスクラムだけが仕事で、
走らなくても許されるポジションだった。
走るのは、ボールを追いかけるのではなく、
スクラムを組む場所への移動のために走る、
ようなものだった。

ところが、ラグビーはどんどん進化し、
ボールもジャージ(ユニフォーム)も軽量化し、
どんどん走るラグビーになった。

当然、体重が重いポジション(プロップとか)、
体重が重い選手(プロップとか)、
体重が重い(かつては「おでぶちゃん」といってOKだったが……)
のは承知の上で、走らなければいけなくなった。

稲垣はむちゃくちゃ速く走れるようになった。
ウィングの選手かと思うぐらいの数値で走るときもある。

日本で走るプロップのさきがけは、
今の日本代表のスクラムコーチ、長谷川慎(47)だ。
外国チームに対して、
日本代表がスクラムでは勝てるようになったときのプロップだ。

稲垣は、長谷川と同じ「1」を背負って、
スクラムを押して、ボールを持って走る。
日本代表のプロップだ。

(参考:「日刊スポーツ」9月14日付https://www.nikkansports.com/sports/rugby/)

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1966年長崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部、大学院公共経営研究科修了。田原総一朗スタッフを経て、早稲田大学客員准教授。大隈塾「たくましい知性を鍛える」を担当。
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