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焼鳥の恨みをお寿司で

お目当ての焼き鳥屋にいったら、満席だった。
でも満席だったのはカウンターだけで、
テーブル席には誰も座ってなかった。
「1人」と店員さんにいうと、
「狭くてもよかったら」
と、満席のカウンターを勧めるので、
「じゃあいいです」と店を出る。

こんなときににこやかになれない自分をいつも責めるが、
こんな店二度と来るか、と心のなかで悪態もつく。
(といいながら、早稲田通りにある支店にいったんだから、自分自身どうにも説明がつかない。でもやっぱり本店への未練あり、ほどほどに切り上げた)

「いよいよ閉店!」というウワサが定期的に流れる「幸寿司」へ。
オヤジさんに「辞めるの?」と聞いたら、
「あと2、3年はやる」
と。

言葉通りあと2、3年なのか、
そういいながら10年ぐらいは続くのか。

朝と昼は立ち食いそば屋、夜はカウンター8席だけの寿司屋。
空いた席に座って「お寿司と熱燗ください」と注文。

でてきた特選にぎりは、
はまち、中トロ、大トロ、イカ、赤貝、甘エビ、ホタテといくら、トロ巻。
これで2000円。インバウンド客じゃなくても小躍りする。

お皿からはみ出しちゃうくらいの盛り

お寿司は丸いお皿にのってでてくる。
ゲタじゃなくてお皿。
これは関西風だと聞いたことがある。
長崎にあった扇海鮨もお皿にでてきて、
そこのオヤジさんがいってた(ような気がする)。

丸いお皿にのっている様子は、
色とりどりあざやか、形もいろいろ。
海の幸の宝石箱や〜、だった。

はまちはネタが大きすぎて一口ではムリ。
はしたなくも食いちぎって、二度に分けて食べた。
イカはやわらかめのグミみたいな歯ごたえで、
噛めば噛むほどに甘みが増していく。

甘みといえば甘エビ。
ふたつあって、ごはんありとごはんなし。
日本酒のアテとしてひとつ、お寿司としてもひとつ。
うれしいなあ、これは。

赤貝の軍艦巻きは初めての食体験、
ホタテのいくら載せは、ネタにお醤油をつけるかごはんにお醤油をつけるか、迷ってけっきょくにぎりを横し倒してディップするという半端なことをする。
いくらを数粒お醤油の中に残してしまう。

水溶きの粉わさびよりもガリのほうが辛い。
ネギ抜きのねぎとろ食べて仕上げ。
熱燗一本でちょうどよく、お会計は2550円。

デフレの象徴みたいだな。

これでなんで行列ができないんだろう。
外観が怪しすぎるからだろうかなあ。
でも行列ができたらオヤジさん倒れてしまうんだろうけど……。