まさかの働き方改革

まさか自分に働き方改革を求められるとは思わんかったなあ。

「TA(Teaching Assistant)を働かせすぎです。ブラックです。やめてください」

簡単にいうと、そんなところだった。
大学の所属箇所であるグローバルエデュケーションセンターの所長が授業のことで話をしたい、ということで指定された場所に行ったら、所長、事務長、経理担当、講義担当の4人。まるで圧迫面接だった。

たしかに、SA(Student Assistant)さんたちは、たくさん働いてくれている。
アクティブ・ラーニング系の授業はそんなもんだろう。事前の準備が膨大にある。

「そもそもこれって、どんな意味があるの?」

グループワークを設定するときに、よく立ち返るポイントだ。
こんな意味があって、こういうことを学べるはずだから、と思っていたワークも、
実は設計する側がそう思い込んでいるだけで、
ワークをする側、受講生はそんなこと思ってもいないし、
望んでもいないし、熱が入ってるわけでもない、
ってことがよくある。
ワークに意味をもたせる、命を吹き込むのが、教員とSAの仕事であり、
受講生がすっと学べるようにデザインすることが、教員とSAの仕事である。

だからわたしは、TAという役職名をつかわず、
SAと勝手に名付けている。

「じゃあ、教員はブラックでもいいんですか?」

と軽く尋ねた。
実際、そうなるはず。

「いいんです。教員は倒れるまで働いてもいいんです」

簡単にいうと、そんなところだった。
そりゃあんたはいいさ、正社員(専任教授)なんだから。
こっちはパートタイマー、出入りの業者(客員准教授)なんだから。
ただでさえ低賃金、雇ってもらえてるだけもうけもの。
好きで仕方がないからやれてるし、
かみさんが許してくれてるからできるパートタイム教員。

なのに、もっとブラックになれ、と?

自分の働き方はずっと自分で決めていたし、世間の「働き方改革ブーム」はあくまでも観察標的だった。だから「まさか」だったけど、思えばちょうど、

「なぜ人に任せることができないんだろう」

っと悩んでいたところだった。
人に仕事をふるのが苦手だ。ついつい自分でやってしまう。
自分で思いついたんだから、自分でやる。
自分でやってきたことだから、自分でやる。
それが当たり前。

きっとこれって、学生時代からフリーライターで、
田原総一朗さんのスタッフになって、
あっちこっちで仕事をしてきたけど、
ずっとピンのプレイヤーだった、からだろう、と気がついたところだった。

そんな気づきのときに、
「アシスタントを働かせすぎないように」

受講生たちのことばかり考えていて、SAさんたちのことはあまり考えてなかった。
受講生たちがいい学びを得られるような、そういう場をつくることに努力するのがSAであって、そのために一生懸命になるのがSAであって、そんなふうに考え、動くようにするのが自分の役割だと思っていた。

けど、違うんだろう。
SAさんたちが心地よく働けるように、安心して働けるように、
教員の代わりに授業をつくるんじゃなく、
教員と一緒に授業をつくっていくのがSAなんだ。

SAさんたちが心地よく働けるように。
傍にいるSAさんたちを楽にするようにするのがわたしの仕事。
ってことなんだろうなあ。

ありがたい。

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