「越境学習」はなぜ注目されているのか
「越境学習」が注目されている。
『越境学習入門』が、人事や人材育成でのグッドデザイン賞みたいなものの
「HRアワード2022」に入賞している。
何年か前から、風にのって遠くからかすかに聞こえてきたような「越境学習」という言葉が、
身近な研究者やコンサルの人たちのトークライブでも話され始めて、
だんだんだんだん近くなってきたぞ〜、と持っていたら、
ここに来て、ドーンと眼の前に現れた、という感じ。
越境学習って何か、というのを整理する。
①ホームとアウェイを行ったり来たりしながら働く、学ぶ
自分が所属する会社から、よその企業とか地域の会社に行って、
ある一定期間働いたり、学んだりする。
そうやって力をつけていく。
②なぜそんなことが必要なのか?
「冒険者」を育てること。
冒険者とはなにかというと、チャレンジャーのこと。
いまどき、冒険するような人は少なくなっている。
冒険者とはどんな人か。
冒険者は、目標をもっている。
どこに行きたい、なにをしたい、こうなりたい、という目標とか目的地。
目的地にたどり着く間に、いろんな事が起こる。
常識が通用しないことにも気がつく。
想定外のことや、困難なことに出くわす。
それを克服するための方法を考える。
悩んだり、葛藤したりする。
小さな失敗、大きな失敗をする。
でもへこたれない。
知らないうちに力をつけていて、
目的地に達したりする。
なにより、広い世界を知ろうとしている。
③越境学習したら、どんな力がつくのか。
忍耐力、探究心、チャレンジする気概、困難を克服する知恵、
仲間を巻き込んでいく力、コミュニケーションの力、
というような能力が上がっていく。
④大事なこと
ひとつは、いまいる居心地のいい場所、コンフォートゾーンから出る勇気を持つこと。
あるいは、その勇気をもたせること。
コンフォートゾーンの外に、魔法が起きる場所があることはよくあること。
その冒険は、100%必ず成功するわけではない。
野球に例えると3割バッターにもならない、
1割ぐらいしかヒットを打てないかもしれない。
それでよし、とするのがよかろう。
ただし、あとから気がつくこともある。
あとからできるようになることもある。
誰しも越境した経験がある。
そのときは気がついてなかったけど、
あとから「ああ、あれは越境学習だったのか」とわかることはよくあること。
みんな、ちょっとした冒険者なのに。
『越境学習入門 〜組織を強くする冒険人材の育て方』 石山恒貴、伊達洋駆 日本能率協会マネジメントセンター 2022年