一ヶ月ぶりに手を突っ込んだ田んぼは、
硬かった。
秋田のたそがれ農育園(のいくえん)。
オトナもコドモも、生きる力を養う。
農薬や化学肥料は当たり前のように使わない。
どころか、田んぼも畑も耕さない。
そのまんま。去年のまんま。
来年も、今年のまんま。
自然の力を、生きる力に変える。
近所の家族が、農育園で、
自分たちでできる程度の広さの田んぼを借り、
畑を共有し、週末になると、
小さな子どもたちを連れて、
田んぼ作業や畑仕事をする。
子どもたちは、そんな退屈なことはしない。
子どもたちは子どもたちで、
連れ立って、走り回っている。
用水路で魚を探している(いないのに)。
われわれ大隈塾もここで、
たくましい知性を鍛えている。
しなやかな感性を磨いている。
そんな悠長なこっちゃなかった。
田んぼは、
雑草たちが生きる力を遺憾なく発揮していた。
苗たちが、生きる力を奪われつつあった。
雑草たちは根を張り、威張っていた。
こいつらを退治するのは
ヤワなことじゃなかった。
華やかだったおしゃべりはじきになくなり、
黙々と作業。
根を張っているから、
こっちも力を入れて、
それを引きちぎって、引っこ抜いて、
土手に放り投げなげる。
引きちぎって引っこ抜いて土手に投げる。
引きちぎって引っこ抜いて土手に投げる。
引きちぎって引っこ抜いて土手に投げる。
昼になり、夕方になった。
一緒のころに田んぼに入った、
ほかの家族は引き上げていった。
その家族の田んぼに手を突っ込んだ。
柔らかい、とても柔らかい田んぼだ。
滋味がたっぷりと含まれた泥。
苗が青々と、すくすくと育っている。
わたしたちは自分たちの田んぼを
ネグレクトしてたわけではない。
遠い、忙しい、お金がかかる、
いろんな理由で言い訳して、
怠惰を正当化して、
オトナになる子たちを、
硬い環境においてきた。
育成計画を見直さないといけない。