「個人的には賛成、だけど組織としてはどうかな」

卒業生たちの仕事でのグチを聞いていた。
「自由な発想をしろ、っていわれてアイディアだすと、
必ず『それさ、もう検討済みなんだよね』とか」
「そ〜、そんないいかたしなくていいじゃん、ってある」
「っていうと、『だから甘いんだよね』とか」

うっせーわ的に続いていく。

22日の大隈塾リーダーシップ・チャレンジでは、
昨日書いた関灘茂さん(A.T.カーニー日本代表)ともうひとり、
鎌田由美子さん(ONE・GLOCAL代表取締役)だった。

鎌田由美子さんは、エキナカをつくった人。
エキュート大宮、エキュート品川。
駅ビルじゃなくて、駅の構内で食事ができたり、買い物ができたり。
駅の使い方が変わった。
のは、新橋ー横浜間が開通して以来、
日本の鉄道史上で、駅の概念が180度変わる大改革だった。

35歳のとき、プロジェクトチームは3人。
この3人で、JR東日本という、旧国鉄とどう闘ったかは、
『ecute物語』に詳しく書いてあるので、ここでは少しだけ。

会社としては、
「ステーション ルネッサンス」
「通過する駅から、集う駅へ」
というキャッチフレーズで、改革を謳い上げた。
(にしては、プロジェクト人数少なすぎやろ)

ところが。
「共感はするけど、今までの仕事を変える必要はない」
でしょ、というのが、各部署、会社全体の雰囲気。
国鉄が赤字だから、分割民営化された。
赤字部分は精算会社に引き取られたから身軽になったが、
だからって黒字が永続するわけじゃない。
都市部は地下鉄での移動もバスでの移動も便利になって、
郊外ではクルマ社会でますます鉄道には乗らなくなった。
しかも、少子高齢社会、人口減少傾向である。

運賃収入から別の手段を考えないといけない。

けど、
「わかるけど、今の仕事、変えなくてもいいよね」

鎌田さんいわく、新しいことを提案すると、
「前例がない」
で突き返される、
「個人的には賛成、だけど組織としてはどうかな」
で跳ね返される、
「誰が責任取るのか」
で切り捨てられる。

それでまったく前に進まない。

「例えば、どんな感じ?」
といわれても、「前例がない」ことやってんだから、
「例えば」なんてあるわけがない。

ということをグチる卒業生たちに話したら、
「わかる〜〜」
「それって何年のことですか?2005年?」
「え、やば、ぜんぜん変わってない!」

そうなんだよね。
だから、みんなでグチをいう、みんなでグチを聴く会を毎週やっていくことにした。