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ファンベースをわかっていなかったイタイ話

クラウドファンディングで500万円手に入れた喫茶店の話。
そこからどうなるのか。

早稲田大学のすぐそばにある「ぷらんたん」という喫茶店。
創業70年の老舗。
コロナで大学が閉じ、お客さんが減り、経営が危機的になった。
たまたま、大隈塾のプロジェクトで、
身近なところからデジタル格差を解消しようというグループができて、
なんかお手伝いできませんか?
と大学周辺の飲食店や古本屋などに御用聞きをしていたら、
「ぷらんたん」ではもうお店をたたもうかと思っている、
いう話を聞き、じゃあクラウドファンディングしてみましょう、
ということで、クラファンを立ち上げた。

そうしたら、たちまち目標額の500万円を突破した。

なんでこうなったのか、というところを「#春から早稲田×春休み大隈塾」
で、クラファンを担当した学生たちに探ってみた。

まずはtwitterでのツイートに、卒業生たちが反応してバズった。
それをみて、新聞が取り上げた。
それをみて、テレビが取り上げた。
それをみて、学生たちが「ぷらんたん」に行ってみた。
お店は満員御礼状態が続いた。
twiterやInstagramやfacebookでそのことを発信したら、
それをみて、またメディアが取り上げた。
こうして、善意に善意が積み上がってきて、
クラファンがスタートして8日で、
目標額500万円を達成した。
いまは、その次の目標額を立てて、その実現に向かってがんばっている。

わたしが心配していたのは、
500万円を手に入れて、その先はどうなるのか、ということ。
一時的にお店の経営は一息つけるんだろうけど、
そのお金がなくなったら、また経営難になるのではないか。
コロナで顕著になっただけで、
そもそもお客さんは少なかった。

大学周辺に新しいカフェも増えたし、
そうしたカフェで飲み食いおしゃべりすること自体を楽しんでる学生がたくさんいるし、
美味しいかどうかは別にしてボリュームはあるテイクアウトのお店もある。
そんなこんなで、大学周辺の老舗はのきなみピンチになっていた。
後継者がいなくてたたんだそば屋、
チェーン店より値段が高くて客足が落ちた牛めし屋、
飲食店だけじゃなくて、学生服、学生帽、ペナント、
いろんなお店が、その歴史を閉じてきたここ数年。

だから、ぷらんたんも新しいお客さんを増やさないと、
いずれはそうなる運命になるんじゃないか、
ということを、クラファンした学生たちに意見した。

クラファンのリーダー学生どめ(ニックネーム)は、
ぼくも最初はそう思ったんだけど、
クラファン以来、ぷらんたんに頻繁に足を運ぶようになった。
お店の魅力がわかった。
お客さんは学生だけじゃなく、地元の人たちもお客さんで、
地元の人たちから愛されてる店だ。
卒業生たちもSNSやニュースを見てお店に来ている。
それで思ったのは、
新しいお客さんを増やすのも大切だけど、
もともといるファンを大事にすることが重要なんじゃないか、と。

わたしは、アタマを叩かれたようなショックを受けた。
「ファンベースじゃん!」

組織開発を勉強したり、
朝活で新しい情報を仕入れたり、
それをnoteでアウトプットしたりして、
その中のひとつ、しかも重要なひとつが、
ファンベース。
お客さんを新規開拓して売上を拡大するより、
いままでの顧客を大事にして売上を安定させ、
ファンの満足度を上げながら、ファン層を少しずつ広げていく。
そもそも統計的には、総売上の大部分は、少数のコアな人たちがあげている。
未知の部分にコストをかけても、パフォーマンスは疑問である、
というのがファンベース。

ファンベースだ大事だよ、って書いたりしゃべったりしながら、
ぷらんたん問題ではそれに気が付かなくて、
新規開拓をしなければ、と発言していた。

クラファンで500万円を得た喫茶店は、
いままでのファンを大事にして、お客さんの満足度を上げながら、
少しずつ新しいファンを増やしていく。
そのためには、不得意だったSNSの利用やデジタル化をしていくことが必要になるだろう。
ということはそこからが、今回かかわった学生たちのホントの出番、
ということになる。