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開けてはいけない水色のドア/西浦和也・裏話怪談

この世の裏側を垣間見るような、不意に出現する怪異たちの物語「裏話怪談」。今回の舞台は人の立ち入りが禁じられた地、禁足地。それは、ごく身近な場所で息を潜めていることもある。

文=西浦和也 イラストレーション=北原功士

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西浦和也(にしうらわ)/自らの実体験から取材まで、膨大な不思議を集める怪談蒐集家。

水色のドア

 人が立ち入ってはならない場所を禁足地というが、そこにはさまざまないわれがある。神の領域、忌み地、悪しき歴史や、因縁のある土地などだ。しかし、それらのいわれが隠された場所が、ひっそりと存在していることもある。

 Bさんが通っていたのは、生徒のほとんどが一流大学へ進むという有名な女子高だったという。
「朝から夕方まで授業で、放課後は全員が学習塾で夜遅くまで勉強する校風でした」
 もちろんBさんもそのひとりで、毎日学校が終わると隣町の学習塾へ通うのが日常だったそうだ。そんなある日のこと。いつものように登校すると、学年主任の教師に校門の前で呼び止められた。
「おまえ、A組の岡田早智子を知らないか?」
 A組といえば、学年トップの生徒を集めたクラス。確かにたまに喋ることはあっても、それほど親しい間柄ではない。
「岡田さんは知ってますけど、どうかしたんですか?」
「数日前から家に帰ってないんだ。お前何か知らないか?」
 主任は彼女が何か知っているのではないかと詰め寄った。
「わ、私そんなに親しくないので……」
 そう彼女が答えると「思い出したら連絡するんだぞ」といい残して主任は立ち去っていった。

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