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「大流行」前夜を辿る! 口裂け女の〝リアル〟怪談/吉田悠軌・オカルト探偵

口裂け女の噂は、大流行した1979年よりかなり以前から各地でささやかれていたーー。前回では、オカルト探偵の調査によって「定説」を覆す重大な証拠が積み上げられたが、今回はさらに新情報をくわえて「口裂け女」発生の実像に迫っていく!

文=吉田悠軌 #オカルト探偵

続々と発見される79年以前の口裂け女

 1977年11月中旬、木曜深夜に放送された、中部地方のCBCラジオ「今夜もシャララ」。番組内の「恐怖の体験コーナー」にて、次のような投稿が読まれたそうだ。 
 投稿者は若い男性。友人4名で深夜のドライブをしていたという。名古屋市の平和公園(広大な墓地公園)を南北に突っ切っていると、ふいに道ばたに立つ、若い女性の姿を見かけた。
「夜中にどうしたの?栄まで戻るから一緒に乗る?」
 ナンパ目当てもあり、後部座席の真ん中に挟むかたちで女を乗せた。ただ女は、ずっとうつむいて長髪を前に垂らしており、顔がよく見えない。また、いくら話しかけても無言で、だんだん車内は妙な空気になっていく。
 助手席の友人はめげずに「どこ行くの?」と振り向いた。投稿者もバックミラーで後ろを覗く。ちょうど女が顔を上げ、対向車のライトがそれを照らす。
「ぎゃああああ!」
 ふたりは悲鳴を上げ、急停止した車から逃げ出した。しかしその途中、後部座席の2名がついてこないことに気づく。
「どうしよう」
「助けに戻らないと」
 恐る恐る車を確認すると、もはや女の姿はなく、後部座席に残されていたのは友人たちだけ。
 ひとりは気絶し、ひとりは正気を失い笑っている。彼らは間近で、女の「顔」を見てしまったからだ。それはどんな顔だったかというと……。
「――この話、他の人から聞いたことありますよ」
 と、ここでハガキ読みが中断され、木曜パーソナリティの藤本憲幸からコメントが入る。最近、これとよく似た女が名古屋市内をうろついているらしく、その顔というのが。 
「口が耳まで裂けているそうです」
 ただし本当の裂傷ではない。口紅によるメーキャップで、通行人を脅かすのが目的のようだ。
 それに驚いて運転を誤り、事故を起こすドライバーもいるとか。
「私の友人も」アシスタントの水谷ミミが苦言を呈す。
「この女の被害にあって、今でも入院しています。本当に迷惑なので、こんなイタズラはやめてください」

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