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全裸の老女を担ぐ幽霊集団/黒史郎の妖怪補遺々々

ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘する「妖怪補遺々々」。今回は「南島研究」より、ちょっと変わった怪異・怪談を補遺々々します。

文・絵=黒史郎 #妖怪補遺々々

「南島研究」の怪談

 暖かな陽春に語られる夢、幻めいた怪談もありますし、冬の囲炉裏端で語られる、身も心も凍てつく怪談もあります。ですが、やはりなんといっても怪談は夏でしょう。(編注:初出時が夏の掲載でした)

 さて、怪談の主人公といえば、いうまでもなく幽霊や妖怪といった、あやしのものたちですが、みなさんは幽霊と聞くと、どのようなものを想像されるでしょうか。

 頭に白い三角、白装束、身体が透けて足がなく、陰火をともない、ひとこと、「うらめしや」。
 今なら、長い黒髪で顔を隠した、白いワンピースの女が次から次へと人を呪い殺していく、そんなイメージでしょうか。

 今回は南島研究会編『南島研究』から、ちょっと変わった幽霊をご紹介いたします。

水死者の霊はなにを吐く

 戦後間もないころ、沖縄で起きた出来事です。

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