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古城が湛える死者と生者の怨念「バイオハザード ヴィレッジ」/卯月鮎・ゲームー案内

書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎がオカルト、超常現象、不思議が詰まった話題のゲームをムー的に紹介。このゲーム、ほかとはひと味違う!

文=卯月鮎 #ゲームー

『バイオハザード ヴィレッジ』

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世界が注目するホラー大作

 5月8日発売の『バイオハザード ヴィレッジ』は、世界累計1億本を超えるサバイバルホラーシリーズの最新作。「恐ろしく美しい村」をコンセプトに、古びた城を中心とした東欧の辺境の村が舞台となっています。

 主人公は前作『バイオハザード7 レジデント イービル』と同じイーサン・ウィンターズ。ベイカー邸の事件から生還したイーサンは、妻のミア、事件後に生まれた愛娘ローズとともに対バイオテロ部隊・BSAAに庇護されて平穏に暮らしていましたが、あろうことかBSAA隊長クリス・レッドフィールドがウィンターズ家を襲撃、ローズも連れ去ってしまいます……。

 果たして愛娘を取り戻すことができるのか? 今回も本能を刺激するような恐怖が待っています。それでは、『バイオハザード ヴィレッジ』から連想されるムー的キーワード3つを挙げていきましょう。

バイオハザード

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舞台の古城にはゲーム内の製薬会社・アンブレラのマークを思わせる紋章も……

 シリーズタイトルともなっている「バイオハザード」。もともとは「生物災害」を意味する用語で、病原微生物や寄生虫などによって起因する災害を意味します。ちなみに『バイオハザード』は日本語タイトル。英語タイトルは『Resident Evil』です。

 現実世界で「バイオハザード」というと、リチャード・プレストンのノンフィクション本『デーモンズ・アイ 冷凍庫に眠るスーパー生物兵器の恐怖』(2003年)がセンセーショナルでした。WHOが撲滅宣言を発表した今も、アメリカとロシアの研究所2箇所の冷凍庫で保管されている天然痘。それが悪用される危険はないのか? そして天然痘ウイルスを研究していた製薬会社や大学などから流出している可能性……。いつ人為的なバイオハザードが起こっても不思議ではない状況に震撼します。

古城

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ゴシックホラー映画のような映像美を感じさせる古城

 今回の『バイオハザード ヴィレッジ』は、女性城主オルチーナ・ドミトレスク夫人が住まう古城がクローズアップされています。華麗ながらも不気味な装飾に彩られたこの城は、ゴシックホラー的な魅力にあふれています。

 世界屈指の幽霊城として知られるのは、ホテルとしても宿泊できるイギリスのチリンガム城。チリンガム城はイングランド北部、スコットランドとの境界線近くにある13世紀頃に建てられた城(現存する城は14世紀以降のもの)。対スコットランド用の拠点として築かれ、捕らえた兵を入れる牢獄や処刑場、拷問器具なども現存しています。

 チリンガム城では城内のとある部屋に出現して、すすり泣く少年の霊「Blue boy」がもっとも有名でした。しかし、改修工事で壁のなかから少年の骨が発見されたあと、出現しなくなったと言われています。

 日本で幽霊話がある城といえば姫路城。敷地の外れにあるお菊井戸は、怪談「播州皿屋敷」(江戸を舞台とした「番町皿屋敷」の類話)で女中・お菊が責め殺されて投げ込まれたという井戸。この井戸から夜な夜なお菊が皿を数える恨めしげな声が聞こえてきたとか……。

吸血鬼

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古城に住まう城主ドミトレスク夫人

『バイオハザード ヴィレッジ』でカギを握る存在となる女性城主ドミトレスク夫人は、人間離れした長身に優雅なドレスを身にまとった妖艶な貴婦人。トレーラーでは長い爪のような武器を操り、捕まえた者の血をなめるなど吸血鬼を思わせます。

 東欧の女性吸血鬼というと「血の伯爵夫人」こと、16世紀のハンガリー貴族エリザベート・バートリ。「鉄の処女」という拷問器具で650人もの娘たちの生き血を絞り、若返りのために血風呂に浸ったと伝えられています。

 実は、エリザベート・バートリの虐殺事件は濡れ衣で、エリザベートの財産を狙った当時の王が仕組んだという説もあり、闇の深さを感じさせます。蛮行に至ったとされているスロバキアのチェイテ城は、今や廃墟と化していますが、観光スポットとなっていて見学できるそうです。

 恐ろしいのは城が湛える怨念か、それとも目に見えないウイルスか、はたまた人間なのか……。


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