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火山灰と溶岩で朝鮮半島は壊滅状態になる! 白頭山大噴火の恐怖/有賀訓

朝鮮民族の聖地とされる白頭山ペクトサン。美しい山容を誇るこの山はかつて、ほぼ1000年周期で大噴火を繰り返してきた。
そして今、再びこの山の神が怒りの炎を天空に噴きだそうとしている。いったいこの聖山で何が起こっているのか?

三上編集長による解説動画

文・写真=有賀 訓

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北朝鮮領側から見た白頭山山頂の大カルデラ湖「天池」。この水は、次の大噴火では間違いなく、超危険な「水蒸気爆発」のエネルギー源となる(©東北大学東北アジア研究センター)。

今、目覚めつつある神の怒りを秘めた山

 今年8月、韓国映画『白頭山大噴火』が日本公開され、大きな注目を集めた。この作品は、イ・ビョンホン、マ・ドンソクら超一流キャストを起用し、最先端映像技術をフル投入して現代社会を襲う巨大天変地異の脅威を描い〝ディザスター・ムービー大作〟だ。

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韓国映画『白頭山大噴火』は決してフィクションではなく、東アジア広域に大被害をもたらす実際の火山活動をベースに制作された。現在、TOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショー公開中。

 しかし、内容は決して絵空事ではない。近年、この北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と中国の国境にある大型火山の活動が急激に高まってきた現実が、まぎれもなく作品の背景にある。
 そして、もし実際に白頭山が大噴火すれば、朝鮮半島だけでなく近隣地域にも確実に大被害が及ぶ。実際、白頭山の目覚めに呼応するかのように、日本各地の地震・火山活動にも無気味な変化が現れているのだ!
 白頭山(2744メートル)の所在地は、能登半島から日本海をはさんで約600キロメートル。さほど遠く離れているわけではないが、山体の南東側は北朝鮮領なので、訪れたことのある日本人は少なく、名前すら知らないという人も多い。
 しかし朝鮮半島の神話では、最初の王「壇君だんくん」が生まれた最高聖地と伝えられ、それにあやかり北朝鮮の初代最高指導者・金正日総書記の誕生地もこの山だとされている。
 また17世紀に中国清王朝を建てた満州平原出身の皇帝一族も、「長白山(白頭山の中国名)」に舞い降りた天女の子孫を自認していた。
 さらに2018年の南北首脳会談でも、金正恩氏に案内された文在寅氏が韓国大統領初の白頭山登頂を果たし、両国にとって白頭山観光ツアーの実現が重要な外交カードになり得ることをアピールしている。
 その山頂に満々と清冽な湖水をたたえた「天池」は、見るからに優美で静態は直径約4キロ、最大水深約400メートルの大型カルデラ湖で、これこそが荒ぶる白頭山の別の顔⋮⋮すなわち、かつて激烈な巨大噴火を起こして、途方もない量の噴出物をまき散らした事実を物語っている。
 ときに人間界を生き地獄に変えてしまう、神々の怒りを秘めた山。それが、古代から白頭山が篤く信仰されてきた最大の理由だろう。そして今ふたたび、白頭山は恐るべき活火山の本領を発揮しつつあるのだ。

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