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いけると思ったんに

 本当なら今日が初めての出勤日だった。そんなバイト先をもうすでに辞めている。
 初めてのことだ。一度も出勤することなくバイトを辞めることは。今回はいけると思ったんに、ダメだった。いや、今回も、か。

 バイトを始めようと必死になって求人募集を見ていたのは今月の頭ごろ。どうしようもなく退屈な毎日を埋めたい気持ちと、もうどうにでもなれっていう気持ちでバイト先を探した。

 応募したのは3社。1社目は折り返しの連絡が来たと同時に辞退のメールを送った。2社目はそもそも折り返しの連絡が来なかった。3社目はきちんと履歴書と職務履歴書を書いて提出し、30分程度の面接もした。それに加え食事までご馳走してもらったのだ。
 そんな3社目の採用メールに嬉々としていたわたしは今はいない。突然やってきたうつと共にどうしようもない不安と焦燥感に駆られ辞退のメールを送った。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 バイトが決まったことで喜んでくれた母親にそのことを伝えると「少しでも頑張ってやってみたらよかったのに。相手側もコストかかってるんだよ」と言われた。
 わたしも十分にはわかっているのだ。こんなわたしを採用してくれて親身に話を聞いてくれて応援してくれた相手方に申し訳ない気持ちでいっぱいである。

 どうして、こうなってしまうのだろう。できると思って行動しても裏目に出る。どんなに頑張って繕ってもすぐにボロが出てしまう。焦ってはダメだ焦ってはダメだと思うほどにうつはひどくなるし希死念慮は強くなる。

 一生この病気と付き合っていくなんて今は途方もないことに思える。街中で見かける仕事をする人々にわたしはなれないのだろうか。どうしたら良いのかわからない。自分で自分がわからない。いつからこうなってしまったのだろうか。

 こうやって黙っていてもうつがくる。そして時期に躁になる。また振り回される人生。わたしには安定がない。年齢と仕事と恋愛と結婚と普通って言葉が現実的になりすぎて余計に焦る。わたしにはできることなど何もないのに。

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