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失恋をしました

 2時間ほど良く泣いた。久しぶりに涙を流したが、泣くというのはあんなにも止まらないものだったか。

 彼とは知り合って2ヶ月ほどだった。初めて会ったときからお互いに何となく同じにおいを感じ急接近して、体の関係をもつまで時間が掛からなかった。
 けれどわたしたちはお付き合いはしていなかった。お付き合いはしていなかったけれどデートもたくさんして周りから見たらカップルと思われていただろう。

 そんな彼に「どうしたら付き合えるの?」と地雷のような質問をしたことがあった。酔ってベロベロだった彼は急に冷静になって声色を変えて「俺、しばらく誰とも付き合わないと思う」そういったのだ。
 そのとき、ちょっとショックだったけれど正式にお付き合いはしていなくてもそれ相当の関係を持っていたから満足していた。けれどそれすらも伏線だったのだ。

 最近になってマメだった彼の連絡ペースがぐんと落ち、何かしらを察したわたしは「もう会えない?」ときいた。すると「今まで通りとはいかないかな」と言われた。ここからわたしの号泣がスタートだ。
 その理由について彼は「気になる人ができた」といった。まあ何となくそう感じていたから覚悟はしていたが自分が急に空っぽになる感じがして怖くて泣いた。けれど明るさを装って「今までありがとう!素敵なことが起きるといいね!」など思っても(少しは思ってはいる)いないことをいってやりとりを終わりにしようとした。もう連絡先も消して会うこともなくなるんだろうなと思った。
 しかし彼は違った。「また何かあれば連絡するし連絡して。数少ない仲間だから」といってきた。これまた都合が良すぎるなと思ったが、わたしは失う恐怖が大きすぎて従順に返事をしてしまった。

 わかってはいるのだ。こういった場合もう会わない方がいいし連絡先も消した方がいいことくらい。けれどこの人生で一番ほどのめり込んだ相手だったから、思っていることではない自分の弱いところ丸出しの反応、応答をしてしまった。

 彼からのスタンプに既読をつけてメッセージのやり取りは終わりにしたのだが、やはりやるせなさや疑問で頭がいっぱいになっている。
 どうしてわたしではいけなかったのか、わたしはなぜ気になる人になれなかったのか、どうしたらよかったのかなど考えても仕方がないことばかりが頭に浮かんでわたしを支配する。

 わたしではダメだったんだ、彼の気になる人にはなれなかったんだ、そういう思いがわたしをつらくする。きっと、というかちゃんと彼のことが好きだった。

 そうして数時間経ったいま、こうしてここに書いている。この失った悲しみやそこからくる恐怖心から少しでも逃れるためと、彼と過ごした時間をだらしなくではなくきっちりと思い出としてしまっておきたいからだ。(失恋して数時間後にはここに書けるほどなので立ち直りが早いのかもしれない)

 やっと彼のことを忘れて何かに没頭できたとしても急に、何の前触れもなくまた今までみたいに会える気がしてしまうしそれが叶わないことに失望してしまう。彼と出会ってから控えられていた自傷も再開してしまった。

 もう自分から彼に連絡することはないのかもしれない。彼から連絡が来ることももしかしたらないのかもしれない。けれど彼と過ごした時間は本当にかけがえのないものだったからこそ、わたしはそれをちゃんと認めて前に進みたい。

 ありがとう。そして大丈夫だ、わたし。

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