見出し画像

安定品質とアート性の葛藤をパンから考えてみる 387-20240210

パンを作っていて思うことがあります。パンを作っていると、毎回インプットが同じようで違っていて、そのためアウトプットは毎回ばらつきがあるんですよ。

いや、同じインプットだけどプロセスに若干違いが出るからばらつきが出るのかも、とか、まあそんな感じでいろいろ思いながら、できたものが美味しかったらまあいっか、となるわけなんですが、これは品質保証の問題に近いなと思ったんですね。

工業的に生産可能なものは、品質が安定していることが大切ですよね。お客さんの手元に届いたときに、その顧客の想定する品質通りなのか、それとももっといいと評価されるのか、リピートしたときに同じようにリピートしたいと思い続けてくれるのかどうかとか、すべて安定したクオリティがあってこそ達成できることです。

ここで大事なのは、ばらつきが少ない、安定した、ということです。工業的に生産されるものは、できる限り条件を揃えて、その上で、ベンチマークになるところより上のところで、コストに見合ったものを作り出すことが課題になります。常に最高品質がいい、というわけではなくて、想定される顧客の購買力や文化などによって、それは調整されうる。

その反対側にいるのが職人芸で、一品一様、唯一無二になるもの。と思います。そういったものは工業的な生産とは違って、職人が常に最高だと思うものを追求することが大切なんだと思います。いつもそのときそのとき、社会や個人の事情などによって、いろんな違いが生まれてくる。それが表現されているのは、アートなんだろうな、と思います。

そこでパンの話に戻ってくるわけですが、工業的に生産されているパンは、当然安定した品質、安定した供給が求められます。ヤマザキとか敷島製パンとか、そういうところ。

対して、町のパン屋さんは、比較的職人的なところに近いのかなというふうに思っています。だから、アーティストに近いとはいえ、毎日食べる主食なので、ある程度安定・美味しい・飽きない、そういうものにならなければならない。最高のものを作りたいと思っていても、実際コストなどをてんびんにかけて、ちょうどいいところで喜ばれるものを作り続けなくてはいけない。

とても難しいな、と思います。でも最高に美味しいものを追求することをやめてしまうと、成長が止まってしまうかもしれませんね。そういうことじゃないのかもしれませんが、なんか、自己矛盾を抱えてしまいそうだ。

以上です。


#10分間日記 #毎日更新 #エッセイ #随筆

※TOP画像はDALL-Eで作成しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?