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鰤を丸ごと一匹捌く② <半生食>ミ・キュイ、沖すき

鰤を丸ごと一匹食べつくす企画の2回目、半生食の調理です。
完全には火を通さず、火が通ってるか通ってないかギリギリのところを狙います。
以前挑戦したフィレ(半身)を調理した記事はこちら。

鰤のミキュイ 肝のソース

この「早生鰤王」と「鰤王」は脂の乗りがとてもよく、臭みのないすっきりしたとても上品な脂で、加熱することで脂のうまみが十分堪能できます。ただあまり高温になると流れ出すので、ギリギリなところを攻めたいなあと思いフレンチの技法である「ミキュイ」で調理してみることに。

ミキュイの作り方は、温度や漬け込み液の比率などが様々ですがこちらを参考にしました。

まずはブライン液というものを作ります。ブラインとは水・塩・砂糖を混ぜ合わせた液体で、今回は水に対して10%の塩と約6%砂糖を混ぜ合わせます。

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この液は結構便利で、焼き鳥とか作る時に焼く前に下処理としてこの液につけたりすると身がしっとりとして美味しくなります。胸肉とかてきめん。
鰤の背側のブロックをこのブライン液を入れたジップロックに入れ、10分ほど冷蔵庫で休ませたのちに45℃で30分保温します。

※この保温は刺身で食べれる肉に限って行います。鶏肉など、細菌がいる疑いがあり加熱前提の肉に対しては保温作業は行わず、液に漬けて冷蔵庫で1時間~一晩寝かせたりします

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さてその間にソースを準備。初日に食べた肝の残り半分を裏ごしして、同量程度の醤油で伸ばし「肝のソース」を作ります。

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料理がフレンチなのでソースとか言ったけど、要は肝醤油…ミキュイに添えて完成。

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ジップロックをお湯から引き揚げてみると、身の色が絶妙な塩梅になってます。火が通っているような通っていないような。
さて食べてみると鰤の身の甘さ、香りがダントツで良い…!そして肝ソースとの相性は完璧でした。とろけるような脂をまとった鰤が、肝のどっしりしたソースと濃厚に絡んで旨味の塊みたいになってる。

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この肝ソースがあまりに美味いので刺身を追加したほど。でもミキュイの方が歯ごたえがなめらかで、肝ソースで食べるならミキュイの方が美味しかった。肝は食べるよりもこのようにソースにしてしまって食べるのがいいかと思いました。この時点で食べつくしましたが、鰤を焼いてこのソースを塗ってもうまいと思います。

鰤の沖すき

続いては「沖すき」。これは大阪発祥の料理らしく、魚(沖のもの)でつくるすき焼きということで「沖すき」というらしいです。
柵からやや厚めにスライスして、昆布出汁:濃口醤油:みりん:日本酒を6:1:1:1で合わせた割り下にくぐらせて食べます。柵の部位は腹の部分を使いました。

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一緒に購入したアワビも一緒に食べます。

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これはこれで美味しかったんですが、正直なところしゃぶしゃぶの方が美味しかったかな…という感想。以前作ったしゃぶしゃぶは薄口しょうゆを使って出汁をあっさり目に仕上げたんですが、今回は濃口醤油をつかって濃い目に仕上げたのが大きく違うところ。ちょっと濃さも中途半端だったかもしれません。
「沖すき」のレシピはいろいろあり、牛のすき焼きくらいの濃さの割り下で具材を加熱し、とき卵につけて食べるようなものと、こうしたちょっと濃い目のだし汁で鍋っぽく食べるものがあって、この鍋っぽく食べる方では正直少し鰤のポテンシャルを発揮できてないかもと感じました。ただ、アワビは絶対このだし汁の感じがちょうどいい!と思わせる美味さでした。

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勝手にアワビ王と呼ぼう。

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締めはうどんにしたんですが、これは鰤の出汁が効いてすごく美味しい。カツオやサバなどとは違ううまみ。主張が強いけど上品。これは鰤の旨味が汁に完全移行してくれたという事で結果オーライかな、という感想。

以上、半生編でした。ミキュイと肝のソースは絶品だったのでこれはぜひおすすめ!
次回の加熱編では今回の中で最も好評だった自信の創作料理が出てくるのでぜひお楽しみに。

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