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鰤を丸ごと一匹捌く④ <保存食>鰤の酢じめ、冷や汁、あら煮、リエット

鹿児島県長島町の期間限定ブランド鰤「早生鰤王」を食べ続ける生活もいよいよ終わりに近づいてきました。今回は、鰤を使った保存食のレシピです。

定番の「あら煮」をはじめ、一ひねりした「酢じめ」、これからの季節にぴったりな「冷や汁」、ツナ感覚で万能に使える「リエット」を作りました。

どれもとても簡単につくれて美味しいですよ!

第一回目の「生食編」はこちら

鰤の酢じめ コツは「砂糖」で水分を抜くこと

一般的に酢じめと言えば鯖、鯵のような青魚を思い浮かべますが、酢じめの目的は魚の水分を抜いてうまみを凝縮させ、保存性を高めるところにあるので、青魚に限らず作っていいのでは?と思い作ってみることにしました。

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まずは切り身(腹の部分)に身が隠れるくらいにたっぷりを砂糖をまぶします。よく見かけるレシピではまず塩を振るものが多い印象ですが、私は砂糖を使うことにしています。
砂糖と塩にはどちらも脱水効果があります。砂糖に比べて塩のほうが脱水効果は強いですが、その分味も入ってしまうので塩で長時間脱水するとどうしてもしょっぱくなってしまいます。一方、砂糖は脱水はそこそこできるものの味は入りにくいので、そこでまずは砂糖で脱水して、味が入りにくくなったところで塩でさらに脱水すると、魚の味を残しつつ身がしっかりと脱水できるという訳です。

砂糖をたっぷりまぶしたら1~2時間ほどこの状態で冷蔵庫へ。

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さて砂糖が溶けて脱水されました。こうなったら、切り身を氷水の中に入れ、砂糖をきれいに洗い流します。

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よく水分をふき取ったら、ここで塩を振ります。塩は砂糖の半分ほど。まんべんなくまぶします。

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塩をまぶしたら冷蔵庫へ入れ、砂糖を振ったときより長時間寝かせます。だいたい2倍くらいの時間をかけます。

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寝かせ終わったら、新しい氷水でまた塩を洗い流し、水分をふき取ったら酢に漬けます。バットに酢を流し入れ、クッキングペーパーをかぶせるといいです。3時間くらいでもいいんですが、私は一晩漬けました。

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つけ終わったら、表面の酢をふき取って完成です。今回はせっかく皮つきのまま締めたので、皮も食べるため表面をあぶって完成です。

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これが想像以上の美味しさでした!早生鰤王のうまみがさらに凝縮されており、濃厚な鰤の味。これまでの中で、最も鰤の味をピュアに楽しめる気がします。また、皮が香ばしく食感もムチっとしていて楽しい。
保存食のつもりで作った分を一晩で全部食べてしまいました…。

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鰤のあら煮 身は出汁にも活躍!

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さて、次は定番の「あら煮」です。あらはまず重さをはかっておきましょう。調味料の目安にするためです。
あらを熱湯にくぐらせ、すぐさま氷水に浸しす「霜降り」をします。霜降りの際に血合いのよごれなどを取り除きます。

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霜降りをしたら、あらとそれぞれ同量程度の水・酒の煮汁で煮ていきます。牛蒡があればぜひ加えてください。沸騰したらあくを取り、2~3分煮たらあらの10%ほどの砂糖を加えます。徐々に煮詰めていき、1~2割程度に詰まったらあらの重さの5%ほどの醤油を3回に分けて加えていきます。
あらが900グラムとした場合には45ccの醤油を加えることになり、45÷3=15なので、1回に加える醤油は大匙1ということになります。
だいたい、醤油を入れる→煮汁をすくって全体にまわしかける→また沸いたら醤油を入れる、を繰り返す感じです。

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だいたい煮汁が最初の半分くらいになったら、ほんのちょっとのみりん(あらの2~3%)をまわしかけ、ひと煮立ちさせて完成。針生姜を添えます。

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あらにも身がしっかりと入っていて、筋肉質でとても美味い…臭みが全くなく、頭肉ならではの食感が存分に楽しめます。
身もとても美味しいのですが、あらから素晴らしい出汁がでているので、半分くらいは身を外して、煮汁とともに料理の具材・調味料的に使うのがおすすめ。あらの煮汁で作ったひじき煮が最高に美味いです。

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これからの季節にぴったりな「鰤の冷や汁」

鰤の冷や汁というのは聞いたことがないですが、これまでの万能感からいって大丈夫でしょう。ツナ缶で作る冷や汁も美味しいのでいけるはず。
切り身をフライパンで焼いていきます。フライパンで焼くことで脂を逃すことなく使えるためです。

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完全に火が通ったら皮を外し(皮はそのまま食べてしまう)、身の重さの1/2~2/3程度の味噌、1/5程度の練りごまとともにすり鉢で練っていきます。

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味噌は一度に入れず、味を見ながら徐々に入れていきましょう。冷や汁として食べるときには、氷水・ごはんとともに食べるので濃い目に作ります。あと濃くした方が保存がきくので、ちょっと塩辛いなーというくらいでOK

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さて、練りあがったら、食べる分だけすり鉢のそこに塗ったくって直火で焙ります。残りは保存用によけます。

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味噌の焦げたいい匂いがしてきたら、氷水を流し入れ、味噌が溶けたらめしを盛り、塩もみキュウリと刻みミョウガ・紫蘇を乗せたら完成。

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これがまったく違和感がないというか、うまみがすごいので「出汁使ったっけ?」というような味わい。またこの蒸し暑い季節に冷たい汁物は本当にいい。そうめんで食べてもいいな~

保存用によけた分は小分けにしてラップにつつみ、冷凍します。2~3週間くらい大丈夫かと。

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ツナ感覚で使える「鰤のリエット」

最後は身をオイルで煮てほぐした「リエット」。要はツナなんですが、ツナ=マグロの意味なので「鰤のツナ」ではまったく意味が分からないのでおしゃれな「リエット」と呼んでみました。あと「リエット」って呼ぶとカッコいい。

鰤の身に塩こしょうを振り、しばらく置いたらオリーブオイル・ローリエ・にんにく少々とともにジップロックに入れ、加熱します。完成したらほぐすので、温度はあんまり気にしないです。60℃くらいだったかな。

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火が通ったら取り出し、身をほぐしてオイルでふたをしたら完成。今回はほぐした際に柚子胡椒も加えました。

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このリエット、早生鰤王の癖のないすっきりとした味わいもあり万能に使えます。バケットにこのまま塗って胡椒を振ってもちょっとしたおつまみに。柚子胡椒がたまにピリっと効いていいアクセント。

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そのほかにとても気に入ったのはこのリエットをパンに塗り、その上から「ザジキソース」を塗ってバジルを乗せたもの。

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ザジキソースの作り方
水切りヨーグルト100gに対してすりおろしキュウリ1/2本、おろしニンニク少々、オリーブオイル大匙1、レモン汁大匙1、オレガノorディルを混ぜ合わせて冷やしたもの

リエットのコクとザジキソースのさわやかな酸味、そして冷たい食感が蒸暑いこの季節に最高に合う!トマトを乗せたりしても美味しそう。ザジキソースうまいなー!

まとめ

以上、「早生鰤王」を丸ごと使った料理を4回に分けて紹介していきました。
早生鰤王をひたすら調理した感想は、「万能すぎるな」ということ。うまさに雑味がなく澄んだ味わいだからいろんな調理に向き、脂もちょうどいいので食べ飽きない。別の魚・肉のレシピに置き換えてもまったく違和感なく料理になってくれるので、思ったより全然ハードルは低かったです。
しかも直販で新鮮なものが手に入るので、計画さえ立てれば到着してから5日くらいであれば十分美味しく食べれますし、保存用に加熱すればもっと長期間保存もできます。とても優れた食材だと思います。

この「早生鰤王」は9月までの期間限定の出荷となっているようです。
興味を持った方はぜひ取り寄せてみましょう!

長島大陸市場 早生鰤王紹介ページ
https://nagashimatairiku.com/products/detail.php?product_id=41

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