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第1回【ライター】自分の「売り」は何なのか

「何でも書けます!」とか言うライターほどアテにならん。今までそういうライターに出くわしたことはほとんどないが、やっぱり「これが得意です」というライターのほうが圧倒的に安心するし、ありがたい。第1回は「ライターとして自分の売りを明確にしておく」という話題でまとめてみた。

「売り」があると、仕事が増える

ゲームに限らず、ライターという職業は○○ライターみたいな肩書きが付くことがほとんどで、そのジャンルに精通しているからこそ書ける、という印象がある。ゲームライターの場合、あらゆるゲーム情報を熟知しておく必要はなく、いくつかの得意なジャンルを持っていればいい。むしろ「得意です!」と言えるジャンルあれば非常に強いと言える。

「格ゲーが得意」「FPSが得意」など、わかりやすく言葉通りのジャンル別でもいいし、「ポケモンが得意!」「無双なら任せて!」とシリーズタイトルで得意でもいいし、「スクエニが得意」「セガが得意」とメーカー縛りだっていい。筆者の場合は「Xboxが得意」だが、そういうのでも構わない。これなら私に任せてください!という売りがあると、結果的に仕事の幅が拡がることになる。

実例を挙げておこう。筆者が数年前に知り合ったライターTくんは、「『レインボーシックス シージ』は得意です。ゲームも競技シーンも詳しいです」と売り込みがあった。ちょうどそっち方面に詳しいライターを探していたので、『シージ』の原稿を発注することにした。

仕事をお願いし始めてから1年後。ずっとメッセンジャーやメールでのやりとりだけで連絡を取っており、会って話をしたことはなかったので(地方在住ライターだったので)、Tくんが上京するタイミングで顔を合せてじっくり話してみることにした。するとどうだ、じつはあれも遊んでいた、これも遊んでいた、こういうのも得意です……みたいなことが次々とわかり、今では『シージ』以外のさまざまな原稿を発注し、自分の中では「頼りになるライターの一人」に格上げ。それも『シージ』で編集側の期待にしっかりと応えてくれたからだ。

ライターとしての売りを作り、編集(部)に「できるやつ」と覚えてもらうことで、どんどん次の仕事につながっていく。得意原稿でいい記事を書いてくれるライターなら、「誰に書いてもらうか決まっていない記事」の発注がくる可能性が高くなるだろう。

なので、まだ得意なジャンルが定まっていないら、しっかりと決めること。

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▲今、筆者が遊んでいるのは『ベア・ナックル4』

今から身につけたい2つの「売り」

「ゲームメディアの編集として、今どんなライターを必要としてますか?」と聞かれた場合、ここ最近は「eスポーツ」と答えている。今(2020年5月現在)はeスポーツ大会全体が延期・中止になっているものが多く、なかなか実際に発注することができないが、今後のことを考えるとまだまだ人材不足だ。落ち着いた暁には大会も再開するはずなので、そのときのために今から何かの競技シーンの勉強をしておくのもいいだろう。

eスポーツのことを書けるライターとしての技能は、一般のスポーツ記者に似ている。その競技(ゲーム)について詳しいのはもちろんだが、シーズン通して競技シーン全体がどのように盛り上がったのか、各選手・チームの勝敗にはどのようなドラマがあったのか……といった知識が求められる。好きな(得意な)ゲームが競技になっているのであれば、チャレンジしてみる価値はある。

そしてもうひとつ、今オススメの売りは「企画力」だ。単なる「ゲーム紹介」「ゲーム攻略」「ゲームレビュー」「取材レポート」というものではなく、企画で勝負する原稿だ。難易度がグッとあがるのだが、これができると「編集」としての活躍も期待できる。

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https://www.redbull.com/jp-ja/used-dragon-quest-back-up-data-match

これは筆者が2017年に書いた記事で、『ドラクエXI』発売記念に中古ショップで売られている『ドラクエ』シリーズのカセットにあるセーブデータをネタにしたものだ。

ゴールデンウィークや夏休み、冬休みなど大型連休のときに、各ゲームメディアはこぞってこうした企画記事をアップするのだが、「Stay Home」な昨今、ますますこうした企画記事が必要とされている。

ゲームライターの多くは、編集部から「こういう記事を書いてほしい」という発注があって、初めて原稿の執筆に入る。企画記事は「編集部が考えて、編集部から発注があるものでしょう?」と考えるゲームライターもいる。確かに以前の筆者も、ライターとしての立場ならそう考えていた。

だが、ライターからこうした提案があると、編集側からすると非常に嬉しい。実際にそれが面白い企画かどうか&実現できるかどうかはともかく、そのやる気を買いたいし、今後もどんどん発注したくなる(これ大事)。

まとめ

というわけで今回はゲームライターとしての売りについて書いてみた。以下にまとめておこう。

●ゲームライターなら自分の売りを明確にすること。多ければ多いほどいいが、器用貧乏にならないように。
●今後、ゲームメディアの編集部が注目しそうなライターの「売り」は、「eスポーツ」と「企画力」。

さて、次回は「ゲーミングパソコンのススメ」をお届けしたいと思っているが、気分で変わるかも。

では、また!

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