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研修編:護衛艦せとぎり

 前回までは教育隊での色々な話をしたので今回は教育隊卒業後の研修先の護衛艦せとぎりでの初めてになる護衛艦生活について書こうと思う。私の記憶では研修は1ヶ月から3ヶ月ぐらいまでしかなかったため直ぐに本採用の護衛艦に配属されることになる。本採用の護衛艦生活については後日書こうと思う。教育隊編をまだ見ていない方は下のリンクから飛んで是非読んで欲しい。↓

 護衛艦せとぎりが尖閣任務から舞鶴基地に帰港するまで教育隊で待機している間、主に同期との交流や座学によるマーク(役職)においての主な仕事内容や安全を勉強した。横須賀や知らない舞鶴教育隊の分隊からきた同期が一緒になって話しながら仕事をしている雰囲気は今まで教育隊の学生時代の常に緊張感漂う雰囲気とはまた違った、フランクな関係を続けられる友達といった感じであった。運良く私の教育隊自体の部屋班長を務めていた友達と研修後も同じ艦で最後まで一緒に仕事していたためお互い自衛官を辞めた今でも仲良くさせてもらっている。

 ところで走行していると3週間後に教官から荷物をまとめて舞鶴基地に行くぞとの話があった。海をボート眺めていると海の向こうから何だか少し古そうなごちゃごちゃした武装やレーダーマストをつけた艦がやってきた。ドリフトをするように艦首から艦尾にかけて着岸し索によって艦を固定した。あの時の本当にこの艦に乗るのかという楽しみの感情は今でも忘れられない。霧型護衛艦は護衛艦進化過程で重要な立ち位置だったこともあり形が少しアンバランスなことによる艦内部の亀裂修理などもたびたびあった。護衛艦せとぎりの情報についてはWikipediaのリンクを貼っておくので、興味があればそちらを見ていって欲しい。↓

 私は射撃管制というマークを持っていたため、研修段階ではGun Fire Control System「GFCS」の正式なマークが与えられた。このマークは文字通り砲塔制御を意味しており、レーダー索敵による敵のロックオン及び発射命令に従って発射する権限を有してる。希望があれば射撃管制の中で他のマークにも移行できる。研修終了まではGFCSだったため基本的には全ての武器に目標を索敵&ロックオン制御している81式射撃指揮装置2型「FCS-2」や、それに伴う艦内の機械操作方法などの勉強がほとんどであった。それ以外はサイドパイプの練習及び砂錘のついた索の投擲練習で1日が終わる。教育隊の常に緊張して終わる生活に比べたらまだ全然気持ちに余裕があった方だったと思う。下にWikipediaのリンクにてFCS-2の情報を添付したので興味があれば軽く流す程度に見てみて欲しい。↓

 しかし、一気に気の緩みがあったせいか休憩時間を他の既存隊員と同じように休憩時間を過ごしてしまったせいでイカつい見た目の若い隊員に目をつけられてしまった。結局その先輩海曹も研修終わりは自分が躾けたと言わんばかりに可愛がってくれたので結果オーライではあったが研修中は常に周りの海曹達からも話が広まったせいで目をつけられてしまった。というのも攻撃文体が基本的に護衛艦の中で1番重要なポジションに立っており、その中でも同期の中で攻撃文体に所属する人間が自分自身しかいなかったため着任式でも私が着任宣誓を務めていたせいもあってか自分の顔を見るなり周りは厳しく指導に当たっていた。どうやら教育隊での指導は本当に必要な訓練だったのかもしれないとこの時に悟った。ある程度殉職などのリスクを常に抱える仕事でもあるため艦の運用全般は生やさしい雰囲気の環境ではなかったのは間違いない。

 特に面倒だった仕事が当直の仕事である。基本的に当直は特に任務がない港に停泊中の仕事であり、仕事がない暇な日は舷門(護衛艦の玄関となる入り口)に先輩と2人で電話当番や艦内マイクでお知らせを伝達することになる。一日中電話当番となれば優しい先輩に当たるとご飯や睡眠の時間の融通も聞くためスムーズに行くのだが、曲者の先輩に当たると一生無言で眠すぎるということもあるくらい最悪な日になる。

 そんなこんなで研修最後あたりはサイドパイプもしっかりいい音が鳴るようになり、毎日のルーティンも身についてきた。基本的に研修先の護衛艦で得た知識は次の本採用先の護衛艦で活用する。逆に本番はそこからであり、まだ研修中は「研修中だからわからないこともあるよなぁ〜」で流せていたのが「できて当たり前、逆に研修中何教わってたの??」に変わってくるのでのんびり過ごしていると喝をもらうことになる。気持ちを引き締め次の護衛艦に備えるため特に最後あたりは生活基準や日課を護衛艦の流れに対応するため先輩の動きを見るようにしていた。

 次回は研修後の本採用先である「護衛艦あさぎり」での生活や思い出について書いていこうと思う。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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