【エッセイ】次元と「次元」と、通りすがりのオッサンの人生
◆次元大介、クールなガンマン
次元大介。拳銃の名手で早打ちは0.3秒、ルパン三世の頼れる相棒だ……もちろん彼は漫画の登場人物である。現実にはこんな、我々と『次元』が違うような人物なんかそうそういまい、と僕らはつい「知らない誰か」を侮ってしまう。
◆通りすがりのオッサンという人生
先日、とあるSNSで若い女性にこう書き込まれたことがあった。
「通りすがりのオッサンに人生なんて分かるわけねーじゃん」
僕は確かに通りすがりのオッサンだが、これまで自分なりにいろいろなことを感じながら「人生」をやってきた。それを、会ったこともない小娘(失敬)に全否定されてしまったのだ。ムッとしてしまった反面、彼女が今後「過去の自分と同じ過ち」を犯してしまうかもしれないと危惧してしまった。
僕自身、過去に「社会」との断絶を経験していた時期があった……低い収入、食事は「うまい棒」のみ。もし当時、通りすがりのオッサンに「人生は素晴らしいぞ!」なんて言われたら、愚かにも全力でバカにしたはずだ。
だから若い彼女の反応は仕方のないものだと思うし、それ故に
『そういう「通りすがりの人」に知らない所で日々助けられている』
という「当たり前」に早く気付いてほしいと、ついおせっかいを焼いてしまう。
◆通りすがりの「次元大介」
物理学では、世界は「十次元」なんだそうだ。「三次元」以上の次元は小さく折りたたまれているらしい。このように「見えないけれど確かにある」ものはよくある。人の過去もそうだ。
考えてみると、僕たちは全員「誰かの通りすがり」であるが、その「通りすがり」にもれっきとした「人生」があり、それを背負って今を生きているのだ。中には、次元大介のような凄腕だっているはずだ。
その次元大介が早撃ちガンマンなのは、傭兵や用心棒といったキナ臭い修羅場をいくつもくぐり抜けてきたからだ。昨日今日早撃ちになったわけではないのである。
(日南本倶生:2021年8月)
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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)