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【2日目】改めて「モトとは何か」(セカイのトリセツ)

◆『モト』という名前の由来

 前回……若い日の僕はついに『モト』を発見しました。
 『モト』というのはココロの材料にあたる『粒子』です。ココロには『粒子の集まり』という、まるで「けむり」のような『実態』がある、ということです。そして、入門編からずっと書いているように、僕たちのココロには「モトの個数」という【量】があり、この『ココロの量』がやり取りされて増えたり減ったりすることで、感情がわきおこる『仕組み』があるのです。

 今までの話で『モト』、『モト』とさんざん書いてきました。これは僕が「ココロの材料にあたるツブツブ(粒子)」につけた名前です。今日はまず、この粒子になぜこんな名前をつけたのか、という話をしますね。

 実はこの『モト』というネーミングには、二つの意味が込められています。

 一つは、読んで字のごとく……「もと」という意味です。漢字で書くと

など、いろいろなものが当てはまります。モトという粒子は、入門編で紹介したとおり「素粒子」(そりゅうし)を想定しています。これに該当する名前をつけました。ちなみに読み方は「↑モ↓ト」(「猫」と同じアクセント)を考えています。
 素粒子というのは「あらゆる物質のもとになっている、一番小さなツブツブ」のことでしたよね。これが集まって電子や陽子ができ、原子ができ、分子ができて、僕たちが普段ふれている「物体」ができるのです。そういった物体のもとになっている「一番小さなツブツブ」が実はココロの材料にもなっている、というのがモトの考え方の基礎でした。


◆モトはなぜ『素粒子』なのか

 入門編では書けなかったのですが……なぜこの『モト』が素粒子なのか? という疑問をずっといだいていらっしゃった、熱心な読者様もおられることでしょう。そこにも理由があります。

 素粒子とは何か? どんな性質の粒子か? というのは、科学の世界でも一大テーマとなっていて、量子力学という学問で研究が続けられています。最近はとても大きな(直径数キロ)円形の実験装置「粒子加速器」などを使って粒子の構造が調べられています。
 これは実は「物質を細かく分解していくとどうなるのか?」というアプローチで行われています。観測できる物質の性質から「より細かい粒子の性質」が予測され、その予測が正しいのかを、粒子同士を高速でぶつけてバラバラになる様子を観察することで確かめる、という具合です。

 「モト理論」は、実はこれと「真逆のアプローチ」で考察しています。
 僕は粒子加速器を持ってませんし(笑)、そもそも使いこなせるほどアタマが発達していませんので、そちらは専門の学者様におまかせするとして。
 僕のアプローチは

「僕たちが「すでに持っている」ココロというものが、もしこの地獄世界に何らかの形で『実在』するのであれば、この世界にある「触れることのできる物質」と同じ源(みなもと)から発生していないとおかしい」

という理屈からスタートしています。
 なぜかというと、感情の源であるココロが「実際に存在する」のであれば実在するための「何か」(物質でいう元素のようなもの)が必要になってきますし、そもそも宇宙というものがビッグバン(宇宙誕生時の大爆発)で急に「無」から「有」の状態になったのだとするならば、その「有」の状態のなかに「生き物のココロ」の材料にあたるものも含まれていなければ、僕たちのココロというものは「実在」できないはずだ、と考えたんです。
(難しいでしょ? エキスパート編ですから……)

 そこでたどり着いたのは、僕たちのココロと、触れられる「物質」が宇宙に同時に実在するならば、おそらく『共通の素粒子』を持っているはずだ……という考え方です。なぜなら、僕たちが「すでに持っている」ココロというものは、肉体という「物質でできたもの」に完全に「紐づけ」されていて、まるで「肉体の機能」のように振る舞っているにもかかわらず、心と体は「感覚的に」別の要素だ、ということではつじつまが合わないと考えていたからです。
 だからそういう「実在するはずの、ココロの材料でも物質の材料でもある素粒子」に『モト』という名前をつけて、そしてこの『モト』の性質を探っていった、という順番で考えていったんです。
 ですから、まずはじめに「素粒子」ありきで考え始めたんです。これがこの『モトの話』で『モト』が素粒子であるとお伝えしていることの根拠です。


◆『モト』という名前の「二つ目の意味」

 話を戻しましょう……この『モト』に込められた二つ目の意味について。

 実は……モトという粒子はなんと

『物体の移動』

を司(つかさど)ってもいるんです。これはつまり、モトという粒子の性質に基づいて、僕たちが「移動」と呼んでいる現象が空間中で発生する、ということです。
 なんて急に言われても「???」だと思うので次回からもっと詳しく説明しますが、だからこそ、英語やドイツ語、フランス語などの

moto

という言葉の読み(モト)を当てました。「動くもの」という意味です。

 フフフ……エキスパート編らしい内容になってきましたね。続きは次回!


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)