【連載小説】聖ポトロの巡礼(第20回)
はじまりの月6日
俺は今、ものすごいものを目の前にしている。メロの言ったことは正しかった。コレを見落とすことは、まずありえないだろう。
山道を進み続け、最後の尾根にさしかかった時、急に視界が開け、それは俺の目の前に現れた。想像していたような樹齢何千年かの巨木ではなく、「大きな木」は明らかに人工的なものだった。建造物というか、記念碑というか、オベリスクという言葉がきっと一番ぴったりだ。高さは優に100メートルを超えるだろう、巨大なオベリスクだ。
色は赤みがかった