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地域をブランド化する。という考えから生まれた『石けん』の話

ファッションデザイナーの村松です。ファッションブランドの『muuc』や、ニット文化を広げるプロジェクト『AND WOOL』を運営したり、ファッションアートの衣装制作をしたり、最近は海外ブランドのデザイナーを務めたりと、あくせく活動しています。

近年、私が活動する中で大切にしている考え方の1つに【地域をブランド化する】というものがあります。今回は、実際にこの考えから生まれた『石けん』の話を例として出しながら、地域のブランド化について考えていきたいと思います。


※stand.fm で音声配信しています。



「高品質な商品は作れても販売がうまくいかない」という悩み

私は、静岡県島田市に「AND WOOL」というニットブランドの店舗兼アトリエを構えています。

地域で活動していると、さまざまな業種の事業者さんと出会う機会があります。今回は、近隣の事業者さんのひとつで、とても高品質な石けんを手作りで作っている『りなむ』という就労継続支援B型事業所のお話をしていきます。

『りなむ』さんでは有名な石けんブランドからレシピや生産権を購入していて、そのブランドのOEM生産をしたり、自社でも石けんを販売されています。

同じ市内のご近所同士いうことで仲良くなる機会があり、お話を聞いていくうちに、高品質な石けんを作っていても、なかなか思うように売れない、と販売に関して悩みを抱えていらっしゃることがわかりました。

ものづくりや、商売をしたことがある人なら共感してくれると思いますが、高品質なものを作るノウハウと、それを販売したり届けるノウハウは全くの別物なんですよね。

そこで、私たちのお店でも『りなむ』さんの石けんを仕入れて販売協力ができないかと考えるようになりました。私たちの活動は、「ファーマーズマーケットのように、作った人の顔が見える商品を届ける」ことをコンセプトにしているので、『りなむ』さんで作っている手仕事から生まれる石けんも私たちのコンセプトに合致しているし、事業所で働く方々の頑張っていらっしゃる姿も間近で見ていて、なんとか手伝えないかなと思ったんです。

ですが、私たちは手芸用品やアパレル商品を扱っているお店なので、毛糸やお洋服を買いに来ているお客様に、石けんを売るのはそう簡単なことではありません。

日本古来のミツバチを育てる農家さんとの出会い

そんなあるとき、近所で「日本蜜蜂のハチミツ」を作っている農家さんとの出会いがありました。

一般的に売られているハチミツの多くは、実は「西洋蜜蜂」のハチミツなんだそうです。西洋蜜蜂は、一度巣を作ったら、その巣でずっと活動してくれるし、蜜を集めるお花の種類も均一化してくれるので、人間が管理しやすいという特徴があります。採蜜したハチミツの糖度も高いし、1つの巣から採れるハチミツの量も多いのだそうです。

一方、日本蜜蜂は、日本にもともといた在来種の蜜蜂なのですが、巣の周りにある花の蜜をどんどん自由に集めてくるという性質があり、採蜜量も少ないので人間が管理しにくく、巣によって全然味が違うんですよね。採れたハチミツは、西洋蜜蜂のハチミツよりも甘さは控えめ、かつすごく複雑な味で、常にぶくぶくと泡が出ているような不思議なハチミツができあがります。

日本蜜蜂は養蜂が難しく、市場に流通しづらい分、希少性があり高価になります。でも、農家さんに話を聞くと、そうしてせっかく希少価値の高いものを作っていても、販売が難しい、と悩まれていたんです。

そのお話を聞いたときは、私も、日本にもともといる在来種ということもあって、やっぱり大事にしていきたい生き物だし、そういったハチミツもあるんだな、と興味深く思っていたんです。

この地域でしか作れない商品を開発しよう

『りなむ』さんの石けんと、日本蜜蜂のハチミツ。全然違う機会であった話だったのですが、あるときふと、石けんの中に日本蜜蜂のハチミツを入れたらどうだろう?とアイデアが浮かびました。

ハチミツは肌に良いと言われていますし、私たちが石けんをそのまま仕入れて販売するよりも、みんなで協力しあって作り手の顔が見える製品を開発した方が、お客様により応援してもらえる製品になるだろうなと思ったんです。

さらに、私たちが販売するということにも意味を設けないといけないと思い、私たちのブランドの洋服を作ったときに出る「残布」と呼ばれる、本来だったら捨ててしまうハギレを使って、石けんのパッケージにしてみようと考えました。ゴミを減らすこともできるし、パッケージに使ったハギレは布巾だったりハンカチにもなるので、お客様にそういった使い方も提案できます。

こうして、地域で活動する人々のいくつものストーリーを重ねた、この地域でしか作れない素敵な商品が完成しました。

ファッションブランド【muuc】の生地で包みました。

地域で採れる日本蜜蜂のハチミツが入った手作り石けんを、地域の就労継続支援事業所さんが作り、地域で活動しているファッションブランドのハギレを活用してパッケージする。

そうして地域のみんなで1つの製品を作ることで、その土地で暮らすお客様にとっては愛着が湧く商品になるし、地域に遊びに来た観光客の方はこの土地の思い出とともに持ち帰ることができます。

作る人にも、売る人にも、買う人にも嬉しい商品ではないでしょうか。

「地域をブランド化する」ということ

一見どこにでもあるようなものでも、独自の付加価値を付けることで、ここにしかない唯一無二の存在になることができます。

「地域のブランド化に繋がる商品開発」という視点で言えば、地域に根差した文化や伝統、慣習などを上手に取り込みながら、地域の人との関わりの中でものづくりをする。そうして丁寧にデザインしていくことで、関わる人の目線を上げ、多くの人の共感を生み、その地域自体の価値をも高めていけるのではないかと思います。

モノや情報が溢れる今の時代で、自分たちの商品や情報をどう届けていくかというときに、ブランディングは非常に重要です。ブランディングにもいろいろな方法があると思いますが、今回のお話を、地域自体をブランド化する商品開発の例として何かのヒントにしてもらえれば嬉しいです。


本日お話しした石けんは、こちらからもご購入いただけます。
普段使いにも、ギフトとしてもおすすめです。
もしも興味持たれた方がいらっしゃったらぜひご覧ください。


【日本蜜蜂のハチミツ石けん】
(muucオリジナルテキスタイル付)
¥2,420
▶︎
商品ページ

【日本蜜蜂のハチミツ石けんギフトセット】
¥5,500
▶︎
商品ページ


〜お知らせ〜

『日本蜂蜜のハチミツ石けん』をお試しキャンペーン開催中
WOOL STUDIOのサイト内で、10,000円以上お買い上げくださったお客様 全員に、『日本蜜蜂のハチミツ石けん』を1個 商品と一緒にお届け致します。どうぞお試しください。

期間:2024年 7月 31日 ㈬ 23:59まで
開催ショップ:
https://wool-studio.com/

日本蜜蜂のハチミツ石けん


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