ものづくりの作り手がお客さんに直接製品を届ける意味
こんにちは、ファッションデザイナーの村松啓市です。私の運営する2つのブランド【muuc:ムーク】と【AND WOOL:アンドウール】、そしてその他のさまざまな活動をいつも応援してくださっている皆様、ありがとうございます。
私は普段、静岡県島田市にある茶畑に囲まれた山間で活動しています。とても環境のいいところで、季節を彩る植物に囲まれて過ごすことは、私の創作活動にも非常にいい影響を与えてくれています。ただ、夜は真っ暗で足元すらまったく見えなくなりますし、ヘビやイノシシが遊びにくることもあるので……ときどき大変です(笑)
●関係者向け展示会を一般のお客様向けのイベントに変更して開催
実は今、私は東京に来ています。本日からの2日間、東京・蔵前にあるギャラリーで行われるイベントにPOPUPショップを出店するので、その搬入作業のためです。車の運転と荷物運びは、ファッションデザイナーの日常的な仕事です(笑)
ちょっと宣伝しちゃいますが、5月27日(金)と28日(土)の2日間、終日私も店頭に出て接客しておりますので、お時間のある方はぜひ遊びに来ていただけるとうれしいです。
このイベントはスタート当初、いくつかのブランドが集まって開催する「合同展示会」の形をとっていました。バイヤーさんやプレスさんに向けた、いわゆる関係者向けの展示会です。小さなブランドが集まって展示会を開くことで、バイヤーさんやプレスさんにとっても効率がいいですし、何よりも私たちブランドも互いの関係者を共有できるようになり、繋がりが広がっていくことをメリットに感じていました。
しかし、ここ数年の世の中の大きな変化を受けて、私たちは「関係者に向けた提案ではなく、一般のお客様に提案するイベントを開催したほうがいいのではないか?」と考えて、今回「一般のお客様に向けた」販売イベントに内容を変更して開催することになりました。
●同じ考えの6ブランドが集まってすぐに行動
イベントの方向性を変える一番のきっかけになったのは、やはりコロナウイルス感染拡大によるアパレル業界の大不況です。ビジネス形態が大きく変わり、「このままではダメだ」という危機感を、私だけではなくみんな感じていたのだと思います。柔軟に素早く変わる必要があると判断して、すぐに行動に移すことに決めました。
早々に動き出したプロジェクト。参加ブランドは全部で6つです。
▼ao(ガーゼ服)
▼AIR ROOM PRODUCTS(シャツ)
▼salvia(テキスタイル小物・雑貨)
▼天然色工房 tezomeya(草木染め・服)
▼VISION GLASS JP(インド製耐熱グラス)
そして最後が、私のブランド【muuc】です。2022年春夏コレクションの新作アイテムを中心に並べて、私が自ら店頭に出てお客様に素材やデザインについてご説明したいと思っています。
●作り手が直接お客さんの前に出ていく理由
「どうしてわざわざデザイナー自らがお客さんの前に出ていくのか?」という考えも、もちろんあると思います。どちらかと言えば、これまではブランドのデザイナーやものづくりをしている職人が、積極的に前に出ていくことは控えたほうがいいという考え方の人が多かったようにも感じます。
しかし、届ける側も受け取る側も時代と共に変わってきています。私は、作り手がお客さんに直接製品を届ける必要性を強く感じています。理由は大きく分けて2つあります。
1つは、お客様と直接話ができることは、私の創作活動にとっても大きなプラスになるということです。お洋服を実際に着てくれる人がどんな感想をもったのかをまったく知らないまま、自分の信じるデザインを一方的に作り続ける「アーティスト」のような仕事よりも、お客様がどんなお洋服を求めていて、どんなところに共感してくれたのか、何に不便さ・着心地の悪さを感じたのかを考える「プロダクトデザイン」を大事にしたいと私は考えているからです。バランスのいい「プロダクトデザイン」には、お客様とのコミュニケーションが欠かせません。
そしてもう1つ、今回のようなイベントを開催することは、他でもないバイヤーさんやプレスさんへのアピールになると思うからです。先程、「一般のお客様に向けた販売イベントに内容を変更した」と書きましたが、関係者を無視すると方向に舵を切ったわけでは決してありません。「おもしろいことをやっているブランドがあるな」「何か楽しいことが始まりそうだな」と、業界の皆様に感じてもらえることは、展示会以上のブランドにとってのアピールになると考えています。
今回のイベントに参加しているブランドさんは、皆さんそれぞれの業界で活躍されていてファンもたくさんいらっしゃる方たちですが、私は勝手にそのファンの皆さんは【muuc】のこともきっと好きになってくれるはずだと思っています。もちろん逆に、【muuc】のファンでいてくれるお客様が他のブランドさんを好きになってくれるだろうとも思っています。
それは、今回参加する6ブランドは、とても「相性がいい」と思うからです。自分のお気に入りのものを見つけるには「相性」ってとても大事だと思いませんか?
私は、自分たちのような小さなブランドが長く活動していくために必要なことが、今回のイベントには詰まっていると思っています。今後も長く継続していくために、まずは今日、明日のイベントを成功させたいと思います。
今回は、ちょっとまじめな近況報告になってしまいましたが(笑)……都内の皆様よろしければぜひ蔵前まで遊びに来てください。直接お話しできればうれしく思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。また、こちらのnoteで近況報告などをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
※この記事で紹介したイベントのご案内
※クラウドファンディング挑戦中(〜6月29日まで)
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