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ホットの余裕、アイスの必要


 入ったカフェの机が驚くほど低くて、しっかり腰を曲げながら机に向かっている。
 雨の降る上野、窓辺のカウンター席から見える前の道を、傘を刺した人々が通り過ぎていく。好きな眺めだ。傘を持つのは嫌いだが、傘を眺めるのは好きだ。形が綺麗。

 雨が強くなってきた。あのコンクリートは濡れると滑って歩きにくいんだ。家を出た時はほとんど降っていなかったのに。今日はカレーが食べたくて外に出てきた。カツカレーしかなかったので(ショーウィンドウにもカレーはカツカレーしかなかったが、カツカレーがあってカレーが無いこたぁねえだろと入ったらなかった)、カレーよりカツを味わう。カツを食うのがあまりに久しぶりだったもので。

 通りを行く傘たちはカラフルとはいえなかった。ほとんどビニール傘だ。外国人観光客が多いからだろう。こっちに来てコンビニでビニール傘を買ったんだ。最近は薬局でも店頭で売ってるよね、ビニール傘。
 私もビニール傘を持っている。デカくて持ち手が太くてしっくり来ないから、どこかで新しいものを買わねばとずっと探している。折りたたみ傘もあるが、いつかの台風で骨がひとつ折れたままれで、使う度ストレスがあった。


 私が海外旅行へ行く時、荷物に傘を入れるかどうかを考える。たぶん折りたたみも入れないな、行く場所によるけれど、カッパなら入れるかも。


 数日経って、梅雨が明けた。あの日も暑かったけれど、比べ物にならない気温だ。私は同じく上野へ繰り出していて、ウォーキング代わりにウィンドウショッピングを敢行した。
 近場でお昼を済ませ、また本を読んだり落ち着いて考え事をするためにカフェに入る。あの雨の日は、冷房が寒くてホットカフェラテにしたんだ。Mサイズだったけどカップはたっぷりと大きくて、ふわふわの苦い泡の下から舌を襲う熱々のラテが美味しかった。

 今日は迷わずアイスの黒糖ラテを頼んだ。冷房が寒いとも感じない。ウィンドウショッピングは、ショッピングモールを上に上がるにつれて縁遠い高級店になっていくのにシュンとしてしまってあまり楽しめなかった。街の人混みに出ると、浴衣の人とすれ違う。どこぞで大きな花火大会があるらしい。みな、暑さにお気をつけて。私は帰って野菜スープを作ります。


 今日の私はきっと、色んな柄のワンピースを見るために外に出たんだ。枝豆ご飯みたいな爽やかな柄、エキゾチックで挑発的な柄、あと一歩で古臭く見えそうな崖っぷちにいる小花柄。どれも可愛かった。
 新しく飲み始めた小説の内容が陰鬱を極めている。しかし、悲惨な小説ってなんでかぐいぐい読み進められるんだよな。さっさと読んじまおう。


 今日はここまで。あっちーね。

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