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ひねくれ革靴⑤まとめ1:フリマサイトは魔窟&メルカリCM炎上&「店舗で試着だけしてフリマサイトで買う」の件


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1.金はないけど革靴が好き→フリマサイトは安物買いの銭失い

「金がないけど革靴が好き→フリマサイトしかない??」という主題で第1話を始めましたが、結論は「ネットで・中古の革靴を個人から買うのは、リスクだらけでおすすめはしない。けど楽しい。けど、やっぱり安物買いの銭失い」です。

「ネットで買う」=サイズのリスクがあります【第2話】

「中古靴の個人間取引」=状態のリスクがあります【第3話】

「しかし、楽しい」=運命の靴を探したり、ギャンブルしたり【第4話】

「けど、やっぱり安物買いの銭失い」:
フリマサイトの靴は安いと思ったら状態悪いとか、綺麗と思ったら高いとか、そんなのばっかです。リスクが余りにも大きく、価格だけが理由で中古を選ぶなら、よっぽど安くなってないと損です。具体的には定価10万ぐらいの靴が1万とかならお得かと思いますが、定価8万が3万とかは微妙だと思います。

運命を感じた靴は、ちゃんと店員さんと一緒に試着して、定価で買って、自分の足に合わせて1から育てるのが一番です!(廃番の靴に運命感じないのが一番です!)

フリマサイトは魔窟です。(靴だけに……マ・靴?) 中古靴は心労が多いです。趣味は心を豊かにするためにあって、ストレスを増やすためではないのです。。。

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2.しかし人類は安物に勝てない? 「店舗で試着だけしてフリマサイトで買う」の件

高くても環境に配慮してる方を選ぶとか、アニマルウェルフェアな方を選ぶとか、世の中にはそういう方々もいます……いますが、、、やっぱり安いものが良いなと思う方がまだまだ多数派じゃないでしょうか。

ここで2話の伏線回収に入ろうと思います。
「店舗で試着だけしてフリマサイトで買う」
という件についてです。

安さを追求し、フリマサイトで失敗しない買い物をしようと思ったら、この方法は誰もが思いつきます。選択肢として至極当然に浮かんでくるものですが、私はこれについて思うこと・言いたいことがあるのです。

まずこれは「ショールーミング」と呼ばれる行為の一種になります。ショールーミングは実店舗で商品を確認したあとに、ネットで商品を購入することです。

ショールーミングは現状、法律で規制されているものではなく、当たり前のように行われていますが、これにフリマサイトが関わってくるとなんだかグレーな匂いがしてきます。具体的には以下のような事例がありました。

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3.メルカリCM炎上

フリマサイト最大手のメルカリのCMが炎上しました。概要としては、女性が靴屋さんで試着をし、購入せずに店を出て、メルカリで購入をする。最後に「買い物上手」とコメントが入る。そんなCMです。

2016年とだいぶ昔のことで、ショールーミングという消費者行動が一般的になるより前のことなので、時代が追いついていなかったというか、現在ではそれほど炎上しない内容かと思うのですが、このときはしっかり炎上をしていました。ググると色々記事が出てくるので、ノイジーマイノリティが騒いだだけというわけではないのだと思います。

私は個人的に、ショールーミングが一般的になった現在でも、この件にモヤモヤします。

倫理や常識の話を根拠に、「店舗で試着だけしてフリマサイトで買う」という行為を批判するのは簡単ですが、ひとりの小市民として「安いに越したことはない」という感情が確かにあります。

なので、詐欺師予備軍としては(第3話) 私はこのショールーミングに賛同してもいいはずなのですが、なんとなくモヤモヤするのです。

もう少しこのモヤモヤを明確にしたいと思います。まず私は、ショールーミング自体は悪いと思わない派です。

一口にショールーミングと言っても、試着専用店舗をつくってショールーミングを推奨するような施策を取っている会社もあります。逆に実店舗をなくしてすべてネットで完結するようにして、無料で返品可能にしたりしているところもあります。

それに本当にショールーミングが悪なら、法律で取り締まられるようにもなるはずです。たとえば試着税の導入をするとか、色々対応はあるはずです。

そういう点からショールーミングが悪なのではなく、メルカリのCMの「フリーライド」を推奨するような表現が問題だと思うのです。

「フリーライド(ただ乗り)」とは対価を支払わず不当に利益を得ることで、こういうことをするフリーライダーがいるから「共有地の悲劇」が起こるんじゃぁぁあああ! という悲しい人間の性(さが)みたいな話です。

実店舗・小売店の方の「接客」というサービスに対して、買う気がないのにそれを受けることを「買い物上手」と言うのはかなりグレーな気がします。対価を支払う気が一切無く、「接客」に伴う人件費だったり想いだったりを、踏み倒す気満々な行為は「賢い」のではなく「ずる賢い」のです。

他人の仕事を否定しているように受け取られてしまうCMは、ちょっと感情的に「嫌い」と言いたくなってしまう気持ちはわかります。

やっとモヤモヤが腑に落ちてまいりました。自己完結してまいりました。

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4.真摯な仕事が生み出す付加価値が「値段がすべて」の世界にしていないと思うのです

そしてフリーライドが当たり前になると、必ずどこかに皺寄せがいくようになっています。無から有は生まれないので、ズルして得をする人がいれば不合理に損をしている人が必ずいます。

たとえばフリマサイトでしか商品が売れなくなると、新しい良いものは生まれなくなります。ブックオフで漫画を買っても、作者にお金が入らない問題と同じ話です。

それに新品をフリマサイトへ普通に出品するようになってきていて、もうどれがなんだか分からなくなります。実際に今だって、フリマサイトで安いと思って買ったら、Amazonの方が実は安かったとかよくある話です。

最終的にフリマサイトは企業との取引ではなく個人との取引だからと、トラブルが起こってもアカウントを消せばそれでOKとなり、誰も商品に責任を持たなくなります。常に自分の買ったものが安心安全なものなのかを心配しないといけないというのは、けっこうなディストピアだと思います。

安く買えればそれでいい、という人だらけになって、どんどん商品がダンピングされて、無責任に転売する人だけが得をする世の中になる、、、というのは極端な話かもしれませんが。。。

でも実際問題、実店舗・小売店で働いている人たちが、様々な付加価値を生み出してお客を取られないようにする努力をしています。「O2O」というオンラインから実店舗へ来店を促す施策をしていたりします。

中古品市場に出回らないように、リペアや回収のサービスに力を入れようとか、そういうことになっています。具体的には以下などです。

「フリマサイトで買えばいいや」と思っている人に対しても、将来、商品が気に入って新品で買ってくれるようになるかも、と思って真摯に接客をしていたり。。。そういう地道な努力のおかげで、安ければ安いだけいいという流れになりきらず、ディストピアにはきっとならないのです。

鶏が先か卵が先かという気もしますが、根本的には売る側の誠意から売買は始まります。値段でぜんぶ決まる、怖くてつまらない世界にならないのは、売る側の、作る側の、生み出す側の良心があるからです。値段を超える素晴らしい商品・サービスが提供され、それに対し適切な対価を支払う、という顧客と消費者の健全な、ウィンウィンな関係は、常に提供する側の努力から始まります。

そしてその努力に対して、消費者には良いものを良いと言う、権利と責任があります。自由があります。真摯な仕事を、丁寧な技術を、自分の意志で選ぶことができます。

さて、では具体的にどんな革靴が作り手・売り手の誠実な仕事を感じられるか? 革靴初心者がどんな新品の革靴を買うべきか? について語りたいのですが、それは次回に!

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