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おもわず試したくなる映画

「甘いお酒でうがい」うん。タイトルからして素敵な映画だと分かる。「甘い」という言葉からほんのりとねっとりした濃いめのアルコールの香りが漂って、トクトクと女性の喉に流れてく様子が感じられる。また飲むでも舐めるでもなくて「うがい」なところがまた良い。普通に生きてる等身大の女性のリアルが描かれてる話の様だと捉えることができる。本を買う基準が表紙のデザインであるように、映画を選ぶ基準が題名でも良いと思う。このタイトルでこの内容、映画を選ぶ嗅覚はしっかりと冴えてたなと感じる。

生々しいのに美しい
 私は邦画が苦手である。同じ人種が同じ言葉を放っているからだろうか、フィクションのはずなのにリアルに感じてしまってなんだか後味が悪くなるのだ。そのため中々自分から観に行くことは無い。この映画はそんな邦画を食わず嫌いしてる私が自ら観たいと願った作品なのである。どんどんハマる感じかな〜と気安く観ていたら開始3分くらいでにやにやが止まらなくなっていた。中でもやっぱり川嶋佳子がお酒でうがいをするシーンは別格で好きぃ!が溢れてしまう。コロコロコロコロッとよく聞く音色をお酒で奏でているのである。これって「大人」だからこそ出来ることでは?1人なのに音は控えめで、だけど大胆に高級そうなお酒でうがいをする様子。彼女の掴み所のないキャラを表してると思う。静かそうに見えて男は何人か手元にある様子もとても興味深い。しっかり自分の魅力をわきまえてのバーでのファッションに注目しつつ、そんな彼女に惹かれてしまう男たちの名前を真面目に分かりやすくLINEで表示する律儀さに注目してみて欲しい。

 圧倒的「きゅん」シーン
 観終わってひとしきり感想を友達と話してて2人であそこ超きゅんきゅんしたよねー!と少女漫画を読んだ後のようなリアクションをとってしまったところがある。佳子が岡本くんと自分の家から出るシーンである。背の高い岡本くんの腕の下をスッと通り抜けて外に出るシーン。人は人を好きになるとこう簡単にも雰囲気まで変わってしまうものなのか…佳子のすこし照れながらも幸せそうに通る表情が愛おしくて堪らない。冒頭での彼女との差は歴然であるし、こういうところが「好き」と素直に感じることができる佳子の純粋さに私たちも「好き」を感じられるのではないだろうか。また、彼女が岡本くんと会えずに不安な気持ちになってしまうところもリアルに表現されていて胸が苦しくなってしまう。「前のままの方が幸せだったかも」という気持ちになるのはそれだけ相手のことを考えて考えて苦しくなってしまっているからなのだ。観てるこっちまで感情移入してしまう、

 美味しそうなお蕎麦の話
 「ズズズッ」と威勢よくお蕎麦をすすり、おっちょこちょいでとんちんかんな若林ちゃんの事を天使だと思っている佳子の独特なふたりだけの世界観がとても素敵だ。変わっているが故に社会に馴染めなさそうに見えるが、好きな人に愛情と熱意を持って接することが出来る若林ちゃんの事を見ていると、とにかくお蕎麦がたべたくなって仕方なくなってしまう。彼女のようにお蕎麦を啜りたい!観終わった後下北沢で食べたお蕎麦はいつもより特別な味がした。

 

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