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大好きな匂いがする映画

「マイ・プレシャス・リスト」は、私にとって冬のにおいを思い起こす映画である。赤や緑に染まったショーウィンドウ、木々を彩るイルミネーション、窓の外はキラキラと輝いて、口から出る息は白くて寒いのに心はぽかぽかと暖かい。大人になってもサンタさんがやってくるドキドキを感じられる人には、この映画で冬が来る高揚感や幸福感に包まれることができるのではないかと思う。

唯一の鎧を脱げる場所

 18歳にしてハーバード卒という経歴を持ち人を見下すことは朝飯前。そんな彼女だがなんだか憎めない。それは彼女の部屋が漂わせる「普通の」女の子らしさから来ているのではないか。例えば、彼女の部屋がモノトーンで統一されていたり、家具が全くない殺風景の部屋だったらどうだろう。彼女に対する考えはちょっと違ったものになったのではないだろうか。キャリーの部屋には、大きくてふわふわそうなベッドがあり、壁にはチェキで撮られた写真がリールに連なって飾られている。キッチンの冷蔵庫にはアーティスティックな写真が何枚も貼られていて、暖炉の上にはクリスマスということもあってかフェアリーライトも付いているのである。これぞ日本人の女の子が憧れてやまない、外国人の女の子が作る普通の部屋なのである。気張ったデザインのものは全くないし、アンティークの高そうな家具が揃ってる訳でもない。そんな「造られてない感」が重要なのである。外部との関わりが苦手なキャリーが唯一落ち着ける秘密基地には、本来の彼女が持つ柔らかさや女の子らしさがつまっている。キャリーがガチガチの鎧を脱ぐことが出来る「家」はサイとのキーポイントであるため、リラックスして素の自分が出せる様な空間にしたのではないかと思う。

キラキラがいっぱい!

 この映画は至る所にキラキラしたものが散りばめられている。この時期だけのイルミネーションは待ってましたとばかりに木々に灯りを点しているし店内も楽しげだ。でもやっぱり私が注目したいのは、いつもはシンプルなキャリーの目元がクラブやパーティーに行くときだけ、何のアイシャドウ使ってるの??と聞きたくなるくらいキラッキラのラメで輝いているところ。ADDICTION?MAC?思わず検索せずにはいられない。このギャップにグッとくる人も多いのではないだろうか。瞬きするたびに輝きが溢れてて、でもなんだか彼女の表情とはミスマッチな感じ。そんなキャリーを最後にキラッキラに輝かせてくれる存在がサイなのである。ラストシーンのキャリーの瞳は、この映画で1番キラキラと輝いている。それは絶対大晦日の花火のせいだけじゃないのだ。幸福と満足感で満たされているとき、人の瞳はこんな輝きを持っているのかもしれない。

秋冬と映画の相互関係

 この映画だけではないが、私は秋冬の世界観を持つ映画が大好きでたまらない。映画と秋冬は間違いない組み合わせであると断言することが出来る。コロナというおうち時間に迫られる機会で、映画は私の心を幸せエネルギーで満たす役割を担ってきたがやっぱり夏に観るのとこれから始まる季節で観るのとでは満足感が違うのではないかと思う。大好きな映画を大好きな季節でこれからたくさん観られるのかと思うと、じゅわーーっと幸せで満たされていく感覚がする。とっても楽しみだ。

 

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