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牛田智大&成田達輝ドラマティック・コンチェルト!

【過去の演奏会より】

日時:2023年11月4日(土) 14時
場所:ザ・シンフォニーホール(大阪)

・ヴァイオリン:成田 達輝
・ピアノ:牛田 智大
・指揮:大井 剛史
・管弦楽:日本センチュリー交響楽団

【演目】

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18

ブラームス生誕190年、ラフマニノフ生誕150年のメモリアルイヤーとはまったく知らなかった2023年に実現した、未来を嘱望される若き音楽家たちのコンサートに大いなる期待を持って行くことになった。

まずは成田達輝さん。31歳。使用楽器はストラディヴァリウス”タルティー二”。数々の学歴や輝かしい経歴は素晴らしいとしか言いようがない。

黒の上着の下から白シャツを出し、黒のニッカポッカのズボンにハイヒールという斬新なファッションで登場。少し前かがみで髪を振り乱し、弓を刀のように振りながら弾くヴァイオリンは迫力の雰囲気も満点!超難曲のブラームスを全力で弾きこなしていた。特に第1楽章のカデンツは圧巻だった。

ただ私としては、ファッションを凝るなら”もっと!”と思った。また、足元はハイヒールなので、少し心許ない感じもした。足が自由に動かないので膝だけの動きに終始してしまっているように見えた。

続いて牛田智大さん。24歳。その才能は中村紘子さんが認めた大天才であることは私でも知っている。ショパンコンクールにシードで登場し、名演を聞かせてくれたのは目新しい。

長身長でスリムな体ながら、弾くピアノは力強いものだった。コンクールピアニストらしく、ミスが少なく、集中を切らさない安心で圧巻の演奏だった。まったく無駄な動きがなく、鍛えられた技術と感性で、超難曲を余裕で弾きこなしていた。ファンも多く、曲が終わった瞬間の拍手はまさに割れんばかりのものだった。ピアニストとして将来を嘱望されている若手の第一人者。。これからもコンクールやコンサートで牛田さんでしか聴けない、さらに個性的なピアノを期待したい。

アンコール曲は最後に成田さんと牛田さんがブラームスのヴァイオリンソナタ第3番から第2楽章を演奏した。これも会場全体が音楽に包まれて、会場が恍惚となっていた。

指揮の大井剛史さんは目立ちこそしなかったが、ソロを活かす指揮ぶりだった。かなり早いテンポにもオケを上手に導いていた。

日本センチュリー交響楽団は先日の「新世界交響曲」の時から大きくメンバーが変わったようだった。安定感のあるサウンドで、管楽器ではオーボエやクラリネットがよく音を響かせていた。また打楽器や金管が鳴らしすぎず、バランスも良かった。途中ピアノコンチェルトでバランスのせいか何箇所か音が抜けていたように聞こえた。

特筆すべきはコンサートミストレスの松浦奈々さん。最近はファッションやパフォーマンスなどで”目立つコンマス”が増えてきたが、彼女は”魅せるコンミス”だと思った。体をねじりながら振る右腕の歌うような大きな弓使いは、演奏会をコンミスで選びたいくらいの魅力あるパフォーマンスだった。

心残りだったのが、会場のピアノの響き(スタインウェイ)が期待外れで、2階前列で聴いていたにも関わらず、思ったほど音に力がなかったことだった。兵庫県立芸術文化センターのスタインウェイもそうだが、響きが伸びて会場に響き渡る感じせず、楽器がピアニストに応えていなかったような気がした。

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