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韓国の新築マンションをご紹介!ー韓国住宅事情(2)

こんにちは、韓国ネイティブのむみんです。

ここでは韓国の最新マンションの流行りをご紹介します。
日本とは違い、韓国では大きい団地(主に1000世帯以上)の大規模マンションが大人気であり、最近はその内装や団地の作りも日々進化しています。

まず、ソウル市内に最近できたマンションの特徴をご紹介します。


  • 優れたガーデン:公園いらず!敷地内の絶景

  • セキュリティ:出入り口と駐車にセキュリティがしっかり

  • コミュニティー:団地内に保育園、図書館、ジム、キッズカフェ、シニアカフェなど、プールや朝食レストランがあるところも

  • 駐車:車はすべて地下に駐車、団地内では安心して歩ける

  • ごみ処理:専用機械でいつでも綺麗に捨てれる

  • エレベーター:車が入ってきた瞬間、認識して待機するエレベーター。家で操作も可能なので待たずに乗れる

  • 内装:収納スペースが多く、タンスや収納家具はいらない

  • ゲストハウス:親戚や友達が来たとき泊まれる

もちろん全ての新築に全部の特徴があるわけではありませんが、最近建てられているマンションでは、入居者が好む施設を備えたところが多いです。

韓国の新築マンション、広さは?部屋の数は?

韓国のマンションにおいてもっとも人気のあるマンションの床面積は、専用面積59㎡~85㎡です。85㎡を超えると、建築法や税金などで「高級住宅」として扱いされるので(税金などが高く課税)、85㎡がもっとも一般的な家庭が住むおうちの面積です。

夫婦や子供一人から成る家族なら59㎡(2LDK~3LDK)
子供二人以上なら85㎡が一般的(3LDK)です。

85平米の平面図。リビングを小さくする代わり、部屋を増やしてドレスルームにしたり。

韓国、特にソウルは冬場がとても寒いので、部屋の窓が北側にあると、いくらオンドルで暖房をしても冬場を凌ぐことが難しくなります。なので、最近のおうちは必ずリビングやメインのお部屋の窓を「南」や「南東」向きにします。

なお、59㎡でもトイレ・お風呂は二つ以上が基本です。
韓国は高級住宅でも便器とお風呂が同じスペースにあるところが
ほとんどなので、浴槽をなくしてもお風呂を二つ設ける設計でメインです。
ちなみに日本のような脱衣室などはありません。

59㎡でも部屋はすべて南向きにしたマンションの平面図。

また、リビングとキッチンはなるべく繋がる形で、
リビングを広々にしています。ただ10年ほど前の韓国のマンションと比べると、最近はリビングを狭くし、通路を作る代わり、部屋の数を多くしていることが特徴。昔のようにリビングに家族皆が囲んで座り、テレビを見る時間はなくなり、部屋が個人の時間を過ごすようになった変化が表れています。

流行りの冷蔵庫(右はキムチ専用の冷蔵庫)と食卓、照明を置いた59平米のキッチン。

公園いらず!敷地内で散歩

最近韓国のマンション団地では、ガーデン作りに本気です。
私の個人的な意見ですが、これは元々公共が作るべき「インフラ」の公園を、政府が作らない代わりにマンションの購入者が負担する形で、敷地内に作っているのだと思います。

再建築や再開発としてマンションを建てるときには、
「公共採納」という法律があり、一部のスペースを市民が共に使えるよう、公園や道、遊び場などを開放すべきですが、住民は赤の他人が団地に入ってくることを嫌がるため、巧妙に逃れる形で設計したりもします。緑地が圧倒的に少ないソウルでは、ますますマンションに住まないと公園ライフができなくなっています。

よく作られたマンションのガーデンは、滝が流れたり、噴水があったり、普段は遊び場だが夏場になると水をためて水遊びができたり。
しかも地上には車通行ができないので、住民たちは安心して散歩しながらこのような「団地内の公園」を楽しむことができます。

ソウルのど真ん中だけど、敷地内では自然豊か

団地の外に行くことなし!コミュニティが充実

最近の新築マンションには、コミュニティも充実しています。
これもある意味、公共のインフラを作る代わり、団地の住民のみがお金で負担しているようなもんですが、便利さによりこちらも進化を重ねています。

最近は団地の住民が優先的に通える保育園、
住民専用のカフェ(専門のカフェと提携し、高級コーヒーを提供)
室内のキッズカフェ(住民の子供たちが遊べる遊び場)
映画館、コインランドリー(大型の布団なども洗濯可能)、
専用のシニアカフェに、勉強のできるスペース、図書館、ジム(専門のトレーナーがいたり)は基本。ジムでは運動器具以外にもヨガやピラティス、ゴルフなど、様々な授業もあり、月1000円くらいで通えます。
2000世帯を超える団地では、プールやサウナまで備えているところも人気。

敷地内でプール使い放題です。普通の庶民が住むマンションにも多い。

住民向けに朝食サービスを提供するレストランも完備。
一食6000ウォン(約700円)程度で、ブッフェや洋食の朝食が食べられます。大手の給食会社との提携でサービスを運営しています。

団地に食堂を設け、朝食サービスも人気

また、住民専用の倉庫や、音楽練習室などを備えているところもあります。
最近はゲストハウスも人気があり、友達や親せきが遊びに来た時に、うちに泊まらせるよりホテルのように泊められたりできます。一泊手ごろな価格ができ、お正月などに役立つとのことです。

ただ、プールなど大きめの施設を運営するには、使わない人も管理費として負担することになるので、不公平ではないかという声も高まっています。実際地方では利用率が高くなく、せっかく作ったのに運営を中止するところもあります。

住んでいる団地にインフラが整っているのは便利ですが、
周りにこのような施設がすでにある地域だといらないという意見と、
それでも「住民のみ」使えることで人気のところもあるので、これからも韓国のマンションコミュニティはますます進化していき、「町」として発展していくかもしれません。

ゴミなど綺麗に捨てれる

最近の新築マンションではごみ処理がとても楽になりました。
マンションではない韓国の一般住宅(ビラ含む)は家の前にごみを置くと、夜中に回収していきますが、野良猫がごみをあさったり、回収が遅れると匂いがひどくて問題となりました。また、専用のごみ袋(有料)に出すべきものを、勝手なビニール袋に出してしまい、回収されず道が汚くなることも多いです。

これがマンションになると、ゴミ捨て場があり、リサイクルや一般ごみ、生もの(韓国は生ものを別で捨てます)を捨てるようになります。しかし、これもまたゴミ袋を持ってゴミ捨て場まで行き、連休でもなればゴミが大量にたまって、臭いの原因になっていました。

最近の新築や新都市では、ゴミを「ためる」のではなく、
地下にごみを処理する装置を作り、専用の機械を開け、ゴミ袋を丸ごと入れるとそのままチューブにごみが流れ、ゴミ処理場まで自動で送れるようになります。

機械に入れるだけで綺麗にゴミが捨てれる。右は今までのごみ捨て場の様子。

しかも最新のマンションのキッチンでは、生ごみをそのまま家のキッチンの専用投入機に入れるだけで捨てられる機能もできました。今までは生ごみを溜めて、その袋をゴミ捨て場までもっていき、臭いゴミ箱に入れなければいけず、主に男性たちが担当する家事だったのですが、この機能があれば開放されます。

韓国のごみ分別についてはまた別途ご紹介します。

駐車場から家まで直結

築20年ほどのマンションにはなく、2000年代のマンションからできた特徴が、「地下駐車場から家まで直結」です。これは新築に憧れていない韓国の人でも、みんな一番うらやましいと口をそろえる特徴でもあります。

前回にも書いたように、韓国はソウルの人でも車を持つことが多いです。
なので、マンションにおいても「駐車場」は大事な存在。入居者であれば大体2台までは別途の費用がなく、車が停められます。

昔のマンションは地上に駐車場があり、
夏場や冬場は車の管理が難しく、特に冬寒い韓国では、外に車を停めるとバッテリーが切れたり、車体に雪が積もって大変なことになりがちです。
また地上に車が走っていることで、常に車に気を付けながら敷地を歩くことになります。

これが入口からすべて地下駐車場に入ることで、
車を停めてから雨や雪に降られることなく、家までエレベーターで直結。もちろんこちらにもセキュリティドアがあります。しかも、最近は登録しておいた車が敷地に入ると、家にアラームが鳴り、自動でエレベーターを呼んでくれるので、待ち時間も減ります。なお、地上に車が走らないので、安心して歩くことで、特に子育て世代が大歓迎。

韓国は地震などがあまり来ないので、このような高層マンションや地下駐車場が沢山建てられているかもしれません。

2022年韓国統計庁の人口調査では、全ての住宅のうち64%がマンション。
その中でも行政新都市である世宗市(세종)は9割近くがマンション、
ソウルも6割がマンションになりました。首都圏(京義や仁川)を含めると7割に近い世帯がマンションに住んでいることになります。

地方(チェジュ・全羅など)は田舎なので一戸建て(茶色)が多く、ソウルはビラ(青)が多い

もちろん韓国の、しかもソウルの新築マンションは、
需要の割に供給が少ない分とても高いですが、今後所得の増加、そして共働き世代が増えていく中で、これからもなかなか人気は収まらないと思います。ソウルでも若い世代や一人暮らしはマンション暮らしが厳しく、ビラやオフィステルなど、様々な住居に住んでいることが多いですが、今後も韓国人が望む「安定的な住居」としてマンションの人気は続くと予想されます。



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