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倒れそうな古マンションが2億円?-韓国の住宅ン事情(1)

こんにちは、韓国ネイティブのむみんです。

今回はソウルの住居事情ついて語ります。
ソウルの人々は、ほとんど「マンション아파트」暮らしを目指します。
韓国では「アパート」といいますが、日本のアパートとは違い、最近はいろいろなコミュニティーまで備えた「町」に進化しています。

その中でも、たまに「もう倒れそうな、築40年は軽く超える古マンション」がずらーっと並ぶ団地もありますが、なんとこちらのお値段、一世帯当たり2億円!!を軽る超えたりするんです。

ソウルでも教育・塾で有名な「デチドン대치동」にある「銀馬은마アパート」。2億円は軽く超えるし、再建築の期待が高いがなかなか進まない団地の一つ。

なんでこんな仰天価格になっているのか。
ソウルの人は古い家が好きな変な癖があるわけでは、もちろんありません。

これは、古いマンションを所有していると、
「再建築」という、同じ土地に新しいマンションを建てるときに、家ができてから分譲してもらうより、より良い層などを先取りできる「土地の地主、つまり権利者」になるからです。つまり、土地の未来価値に投資しているわけです。

ソウルにはもはや空いている土地がなく、
ごちゃごちゃした古い住宅を一気に壊し、巨大団地にする「再開発」と、
築30年が過ぎ、安全上問題のある団地を立て直す「再建築」が主に行われています。

ごちゃごちゃしたの町が、大規模なマンション団地に

もちろんこの工事にはお金がかかります。
それで、前の団地より高さを高くしたり、建物の間隔を狭くし、
できるだけ世代数を多く作り、新しく増えた世代は「分譲」でお金を出します。ここで入ってきたお金で工事費用を賄い、新築に建て直すことが普通の流れになります。

日本も最近麻布台ヒルズのように、昔の町をなんとか再開発した事例はありますが、韓国のように大規模の団地を再建築することはまだ少ないでしょう。

韓国のマンションは、建物を作り上げてからではなく、
建物をつくる計画をしている段階」で分譲(先分譲)をします。人気のある所は倍率もとても高く、ソウルは100倍に上るところも普通にあるくらい。
このため、人気のところは「不動産を持っていない人」の条件が付いたり、障がい者や新婚さんなど、優待条件がついたりもします。

当選したら契約金(住宅価格の10%ほど)を払い、
2-3年ほど待って家が出来上がると、残金を払い入居することが一般的です。ただ、運が必要だったり、みんなが住みたい町はほとんど新築が出てこないため、上で話した「再建築」に目をむく人も出てきます。

古い家を先に買っておくことで、確実に新築の権利が確保できる。
ただ、これはいつ再建築できるかが分からないため、委員会などができてからも早いところは5年ほどで入居できたりするが、遅いところは20年もかかってしまったりもします。

じゃここで疑問。
決して安くない、古いマンションを買うために、巨額のお金を払って、新築でもないお家に住み続けなきゃいけないのか?

そこで「チョンセ전세」制度があります。
これは韓国独特の賃貸システムですが、毎月おうちの家賃を払うのではなく、入居するとき巨額の金額(ソウルの2LDKなら地域によって差はあるが5千万円~)を大家に預けます。そうすると、大家はそのお金を持っていて、入居者が退去するときに返却します。その期間中、家賃は払わなくて良いのです。

これを現金として保管する大家も少なからずあるかもしれませんが、
ほとんどの大家は、この「チョンセ」の保証金(チョンセでお家を借りる入居者も、銀行から保証金を借ります。借りる期間はほぼ利息だけ返上)と、銀行からの借金、そして自分の所持金を合わせて家を買います。そうすると、レバレッジ効果を使い、未来価値のある土地の古いマンションを先に買っておき、新築になったときに暮らせたり。もちろん、その間自分も住む場所は必要なので、これはある程度資金に余裕のある、中流家庭が使う投資方法ではあります。

書いてみたら、チョンセも再建築も、全て銀行の金利が少なくとも3%以上ある韓国だから回っていく制度かもしれません。

韓国の人は、日本よりずっと家に対する執着があるので、
若い人でも不動産投資をしたり、家を買おうとしたりします。
最近は月々家賃を払う文化も拡散しつつありますが、まだまだ心の抵抗も強く、自分のお家を持ち、安定を求める志向も強くなっています。

2023年、韓国全国でアパートを買った人を年齢で見ると、30代が40代を超えている!

これには、若い学生や社会人を狙った不動産詐欺も多く、
家賃が急騰し、普通の給料ではなかなか生活ができなくなる厳しさから、
だったらローンを組んで家を買ったほうが良いという認識が広がったためでもあります。

日本だと都内に住む人は家族がいても、家を買うというよりは
家賃を払うことが一般的ですが、韓国ではまだ「なんとかして若いうちでも家を持たないと」という認識が強く、最近は30代でもマイホームを買う人が多いです。

2017年ソウル「江南」の3LDK平均は13億ウォン、2021年は23.9億ウォンまで上昇。
ソウル全体でも2017年6.2億ウォンから11.9億ウォンに上昇。

これは最近韓国、特にソウルの不動産価格が急騰してしまい、
普通にコツコツと給料を溜めては、家が買えなくなってしまうので、
銀行でなんとか資金を調達し、買っておいた方が安心という雰囲気が広がったためでもあります。

次は、韓国の新築マンション事情について、より詳しくご紹介します。
最近友達や親せきが新しく入居したマンションに遊びに行くことが多いですが、本当にいろいろな進化があって楽しいです!

お楽しみに!


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