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「待つこと」と「黄金の時」

2021.07.02

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昨日から7月ということで、

「今年も早、折り返し地点なんですね」

とニュースやSNSなどで耳にしたり目にしたりすると、

なんだかわかりませんが、気ばかりが焦ってしまいます。

自分はいつからこんなに焦りや

(こういう日本語があるのだろうか?)

になったのだろうか?

基本的にはのんびりやなのですが、妙なところで焦りやになります。

私は本当に生まれてこの方さっさとやるということを一度も経験せずに大人になった人間です。キッパリ!

(故に、いつも締め切りに追われるという・・・)

にもかかわらず、年々、年を追うごとに

のんびりやの自分と、

焦りやの自分がせめぎ合いながら、

妙なところで焦りやの自分が出没する割合が多くなっていることに気づきます。

これではいけない!

世の中の流れに惑わされては!(と世の中の流れのせいにする)

ということで、今日はゆっくり梅干しをつけることにしました。

最近のマイブームは、

「何でもいいからゆっくり待ってみる」

ということに無理やりしました。

(常に世の中の動きとは真逆のことをし続けている・・・)

やらなければいけないことはたくさんあるのに、

このコロナ禍での不測の事態によって

緊急停止を強いられることは多々あるので、

逆に意識的に「待ってみる」機会を持つことにいたしました。

ただ単に梅干しをつけただけなんですけど。

何もできないのに、時だけが無情に流れていく・・・

ああ〜・・・となったりもするにはするのですが、

こういう時はただ、意識を梅干しに一点集中します。

ただ、梅干しだけに。

梅干しを作るまでは結構面倒な作業が多いです。

できあがるのにも幾分かの時間が必要になります。

故にここで、悠久の時間とつながる何かをたぐり寄せないと、

また、焦りやの自分が到来しそうになってしまうので、

イタリアで過ごした

あの何ごとも不思議と前に進んでいかない

通称「黄金の時」を思い出すことにしてみました。

「黄金の時」とは、イタリアという国と関わりを持ったがために

とんでもなく時間の観念がひっくり返ってしまう現象のことです。

(私がやけくそで勝手につけた名称です)

要は、30分で済んだことが1時間も2時間も、

場合によっては一日かかったりもすることを指します。

イタリアでは、

コロナ禍であろうとなかろうと

日本では滞りなく進んでいくことが、

思わぬことで邪魔が入って、なぜか何時間も同じ場所に居続けたり、

同じことを繰り返しし続けなければならないことが、

本当に数え切れないぐらいありました。

アリス・イン・ワンダーランドのような状態でした。

それでも不思議と「黄金の時」を駆け抜けると、

一体自分がどれぐらいの時間を待つことに費やしたのか

思い通りにうまくいかないことで、何時間人と怒鳴り合うことに費やしたのか、

とんとわからなくなったりもします。

結果、夜には「寝よ」としか思わなくなったのも事実です。


「黄金の時」、

それは不意に平和な日常に襲いかかります。

特に油断していた時に。

例えば、

真夏の炎天下に20分以上遅れてきたバスにやっと乗れたと思ったら、

5分もしないうちに

「全員ここで降りろ。ストだ。」と無情にも運転手に告げられ、

灼熱のアスファルトの道を延々歩かされたあの時や、

別の日にまたストがあり、

その時バスに乗っていたおばあちゃんたちが

「だからアチシは今日、出かけるのをよしたほうがいいて言ったでしょ」

と口々に喧嘩をし始めて余計にカオスと化した車内

で「ちょ、ほんまやめてください。」

と一人心が折れそうになった時や、

また別の日は

15時に閉まる郵便局に13時に入ったにもかかわらず、

長蛇の列が一向に進まず、

いつの間にかもう15時10分前。

なぜ?

となった時。

またある時は、

・・・延々続くので今日はやめときます。

そういった数々の

「黄金の時」をくぐり抜けて

今、私は梅干しをつけているのです。

完。

ようやく梅干しを塩につけるまでの一連の作業を終えました。

後は、毎日カビが生えていないかチェックして、

透明の液体が梅から出てきたら少しとって、

さらにさらに、梅干しがシワシワになるのを待ち続けます。

でもそうそう。

「黄金の時」をくぐり抜けたそのあかつきには、

随分「待つこと」に辛抱強くなっていたのに、

時の経過と共に、焦ることに日々を費やして、

自分で自分を疲れさせてしまっていたのかもしれません。

もう7月。まだ7月。

真夏までにもまだ時間はあるし、

年越しまでに時間は十分ある。

その間にのんびりゆっくりできることをまだまだ探そうと思います。

あの時は忌々しかった「黄金の時」も

役に立つことがあるんだ〜と言うのが最近の発見です。

画像2

可愛らしい梅たち。たくさん並んでるのを見ると、なんとはなしいに、ほっこりした気分にさせてくれます。

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