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機械仕掛けの女神 -dea ex machina-


とにかくこの右腕をどうにかしなければならない。

“こいつ”のご機嫌を取りつつ、稼いだ賞金で残ったローンを完済する必要がある。
俺はスクラップ山を遮蔽に左手でショットガンをコッキング、テクノチンピラ二人の頭を吹き飛ばす!
今回の賞金首はストリートギャングのボスだ。

雑居ビルの扉から重サイバネ用心棒が現れる、左腕はマシンガン置換!
コンクリート柱の陰に隠れ重金属弾の嵐をやり過ごす。

「おい、お前も協力しろ!」

「もうーっ、面倒ね」

射撃が止んだ一瞬の隙を突き、俺は飛び出した。
同時に光線が用心棒の脳殻を貫く!


――全ての元凶は、一昨日のあの事件だ。

最新式の戦闘義手に換装して初めてのビズは構成員十数名の弱小ヤクザ事務所を潰すだけの簡単な仕事の筈だった。
奴らが市警横流しの武装を投入してるとは聞いてなかったんだ!
何とかボスは殺ったが、何人かに逃げられた挙句右腕もローン全部残ったまま鉄屑だ。

ジャンクと化した右腕で衝動的に『九十九』の文字が浮かぶホログラフィ掛け軸を殴りつけた。
その奥に隠し金庫。壊れた錠がひとりでに開き……

明らかに旧式だが、よく手入れされた白銀に金装飾の精緻な機械の右腕。

俺はそれを担ぎ上げた。

(困ってるみたいね)

そんな女の声が聞こえた気がしたが、生体ポートの電子的ノイズだろう……と思ったんだ。


ところがだ、こいつに換装してから時々右手が勝手に動く様になった。
一人の時はまだいいがビズの打ち合わせ中などは困る。
どうした物かサイバネ技師に相談に行こうとした道中!

「危ないわ!」

あの女の声と共に右腕が意思に反して振るわれ、ネオンライトの如く輝く爪が背後からの銃弾を弾いた!
俺はその勢いで振り返る。

「よくもうちのオヤブン殺ってくれたなァ!!」

奴はあのヤクザ事務所のNo.2!やはり報復に来たか。
右腕が再び喋り、動いた。

「あなたはわたしを拾ってくれた、だから守る」

突き出された指先からZAPガンじみた光線が閃く!



【To be continued…】


スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。