見出し画像

産業向けに事業を展開する意義と産業の現場で知った、大事な観点

「御社って、謎の会社ですよね?」

とある人材サービスの方に言われて気づきました…

「採用活動はしているのに、
全然広報活動をしていない!」

少しでも弊社のイメージを社外の方にお持ち頂くことを目的に、トップインタビューを4つ連載することに致しました。

まず1回目として、産業の現場向けに事業展開をしている経緯やどういう価値観を持っているのかをご紹介いたします。

代表取締役 那須 俊宗

2000年にマルティスープ株式会社を創業。「位置・空間情報技術で”その場”の価値を最大化する」を企業ミッションとして、メインプロダクトである「iField(アイ・フィールド)」を中心に様々な産業において屋内外を問わず”現場”におけるデジタルイノベ―ションのチャレンジを続けている。



産業向けに事業を展開する意義


ーー今日は宜しくお願いします!

宜しくお願いします!

ーー那須さんは様々な"人が働く現場"を見てきたと思うんです。そこで何を感じたのか。その上でどういう事をしていきたいのかを今日は教えて頂きたいです。

一緒に創業した三枝さん(現テクニカルDept Founder)とは、CADの会社で働いていました。一緒にマルティスープを創立した直後は"自分の好きなCADを作るサービス"にチャレンジしてたのですが、CADで培った座標系技術を使える事と面白みを感じて、位置情報を使ったサービス/ソリューション提供にシフトしていきました。

もともとマルティスープは法人向けだけではなく、地方の自治体向けや観光に関する位置情報サービス/ソリューションも提供していたんです。地域貢献に直結しますし、意義を感じながら取り組んでいましたが、ちょっと上手くいかないところがあったんですよ。

ーーどういった事でしょう?

率直に言うと、長続きしないんです。予算などもつけて「位置情報を使った観光アプリも作るぞー」ってなるんですけど2〜3年すると予算も削られ、担当者や組織も変わり、継続できなくなる。ということが多く続いて「地域や地方にとって本当に貢献できているのか?」って思っちゃったんですよね。「役に立っている」という実感は持てるんですけど、”継続できず、拡がらない、改善できない”感じがありました。

ーーそういった経緯があったんですね。

一方で、法人向けにもソリューションを提供していて、九州で大きな工場を構えるメーカーさんとの取り組みがありました。これが大きな転機になりましたね。今の価値観を作る上で大きな体験でした。

ーーそのプロジェクトでは、どういう体験があったんでしょうか?

このメーカーさんへ市街地側から訪問する時って、山を越えて工場に行くんですよ。山の頂上付近から道路を下り始めると、大きな工場と看板が真正面に見えるんです。実はこの道、交通量が多く、地域のみなさんは毎日この景色を見てるんですよ。

ーーその地域の象徴となる産業なんですね

そうなんです。
現地で食事をする際、その飲食店で働く方々だったり、東京でその地方出身の方々に「あの工場さんと仕事させていただいている」と話すと「あの工場で家族が働いているんです!」「私は親戚が!」なんて色々なところで何回も何回も聞くんですよ。

それぞれの地域に産業がある事で、雇用が創出され、人々の生活の一部をつくる。そして、一時的ではなく、ずっとそれが続いていく。続けていかなければならない。この時に改めて痛感しました。産業はインフラとして、街作りに欠かせないものなんだと。産業の活動や成長を支える事で、継続的に社会や地域に貢献できると確信し、産業に向けた事業へ特化することに決めました。

ーーこの話は、積極的に現地/現場に行く那須さん "ならでは" ですね。産業支援が本質的な社会貢献につながると考える経緯が伝わりました。これまでの経験上、製造業への想いが1番強いですか?

もちろん製造業は日本の産業の中で最も存在感が大きい産業ですので、強い関心を持っています。

しかし、業界を問わず価値提供をして思うのは、人材不足問題や効率化、安全管理の問題って業種を問わないんですよね。製造業以外のインフラ・物流・建設・サービス業など、業種を問わず共通する問題領域があるので、アプローチ方法と利用技術はそのまま転用できることもある、と考えています。


現場で知った、大事な観点


ーー先程のお話の様に、色んな現場を改善した経験が事業だけではなく、Productやソリューションの在り方に繋がっていると思っています。そう考えた時にこれまでの案件の中で、大きな影響を受けたのはどういうものでしょうか?

「無駄まで一緒に自動化してしまっている」
これはとある海外日系工場の社長から伺った中で、深く印象に残っている言葉の1つです。当時その工場では、iField導入とAGV(無人搬送車)の導入を並行して進めていらっしゃったんです。

先方の社長に「AGVでさらに生産性が上がりますね」とお伝えすると、先程のコメントを仰っていました。そして、「今までの作業をそのまま自動化しているだけだ」と。

ーー何か上手くいかない事があったんですか?

AGV導入目的は、人がやっていた"ある搬送工程"をAGVへ置き換える事でした。でも、予想以上にAGVが止まってしまい目標には至らず…次の工程に影響を与える恐れがあったので、足らないスループットを人が埋め合わせていました。

ーー何が原因だったんでしょうか?

人が搬送する場合、他の人や車両の動きを見て、お互いにタイミングや動きで避け合うでしょ?でもAGVって安全面の配慮から、何かとぶつかりそうになると止まるんですよ。色んな工程の人や車両とぶつかりそうになる。向こうの動きも止めてしまって、自分も止まる。そんな状況でした。

ーー1つのプロセスを改善するのも難しい話なんですね。まさか改善で他の工程や全体に悪い影響を与えてしまうとは…何が必要だったんでしょう?

  • 工場全体の導線

  • 全工程ごとの人, モノ, 車両の動き

  • それらが、いつ, どんなペースで動くのか

これらを把握せずに導入すると、上手く噛み合わなくて止まりますよね。何か改善をするには、特定のプロセスだけではなく工場全体の観点で取り組まないといけない。いわゆる"全体最適"の観点です。分業ベースの自動化や最適化は部分最適が起こる。それは工場全体における生産性向上の妨げになる。実際に自分の目で、この事実を見れた事は大きな経験でした。それに、この"全体最適の観点""現場全体の視座"を現場の方が手に入れるため、自分達に何が出来るのか?を考えるきっかけになりました。

ーー本インタビューは以上となります。次回は「今、産業の現場で何が起きているか」をテーマに記事を公開させて頂きます。次回も是非ご覧ください!

この記事が参加している募集