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kyatapy
瞳を閉じれば
5年前の春。3月9日。
平日のAM10時。家族はそれぞれ仕事や学校に出かけひとりだった。無造作に置かれて絡まった白のイヤホン。そっと両耳にあててレミオロメンの「3月9日」を聴いた。一筋の涙がこぼれた。
落ちたんだ。わたし。
小学生からの夢は医師になることだった。憧れだった。ほかの夢なんて見えないくらいがむしゃらに勉強した。負けないと思ってた。でもダメだった。センターの点からして足りなかった。実力不足。自分でもわかってた。
「3月9日に3月9日聴いてる。なにこれエモ。」
そんなことを思いながら涙が止まらなかった。瞳を閉じれば、がむしゃらに勉強して、模試の点数があがらなくて布団をかぶり泣きじゃくる私が見えた。自分のためにしか泣けない冷たい人間だった。あのころは周りが見えないくらい自分で自分を追い詰めてた。後にこの曲は結婚する友達だったか、幼なじみだったかに贈られた曲だと知った。私にとっては強ばった心をときほぐした陽だまりみたいな曲だ。こうして何年経っても思い出の曲はなんですか?と言われて最初に思い出す、そんな曲。あの日私は決意した。浪人する。浪人させてもらう。もう1年だけチャンスをください。私は諦めないから。当たって砕けろだ。挑戦をしないまま終わることなんてできなかった。
あれから5年。私はもうすぐ看護師になる。決して妥協したわけでも諦めた訳でもない。私は望んで看護師になる。詳しい経緯はまだ内緒。人生って分からないでしょ。こうして今を楽しめてるのはあの日があったから。私の#思い出の曲
レミオロメン 3月9日
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