ローカルメディアで人間のジャーナリストがすべきこと
昨年末、広告収益の減少により、英国の地方メディアが閉鎖や人員削減に追い込まれていること、それをFacebookが支援しようとする取り組みについて書いた。
英国だけでなく米国でも、ローカルメディアを持たない自治体“news deserts”が広がっている。そんな“news deserts”を救う取り組みとして「RADAR (Reporters And Data And Robots) project 」が紹介されていた。
このプロジェクトでは、イギリス政府の公開しているデータを用いて大量のローカルニュース記事を作成する。現在、5人のデータレポーターと2人のエディターの元で月に8000の記事を制作しているという。
制作にあたっては、ジャーナリストが記事の切り口やストーリーラインを決定、一定のテンプレートに沿って情報を埋めた後は、独自のシステムが自動でデータや語句を200を超える地域に合わせてカスタマイズする。
自動化できる部分は自動化、人間がやるべきところは人間。メディアやジャーナリストが減っていく地方では、その住み分けがより一層求められるのだろう。
地方で人間のジャーナリストが担う役割として興味深い例がある。ドイツの地方新聞「Neue Westfälische」が投資している地域SNS「Lokalportal」だ。同SNSでは、通常のフィードとは別に、地域情報やニュースが流れてくるフィードも用意されている。「Neue Westfälische」の記者のなかには、同SNS上でサーベイを実施、その結果をもとに自治体へ働きかけ、その内容をSNS内で発信している人もいるそうだ。
実際に人とやり取りをし、コミュニティをよりよくするために行動し、それを発信して次の行動につなげていく。ソフトウェアがある程度記事を書いてくれる時代、地域のジャーナリストが担う役割は、昔ジェフ・ジャービスが書いていたような、“コミュニティのまとめ役”に、より一層シフトしていくのでは、と思っている。
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