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いつかの満月と夜の川沿い

ある日途方に暮れることがあって

居ても立っても居られず
外に飛び出して
夜の風に逆らいながら
歩いた。

「俺、こんなとこで何してんねやろ・・・」

そんな考えがふと浮かび
何度も脳内をループした。

だんだんと涙が込み上げてきた。

「俺、こんなとこで何してんねやろ・・・
 ほんまに・・・
 俺、こんなとこで・・・
 ほんまに・・・
 何してんねやろ・・・」

いつの間にか
泣きながら川沿いを歩いていた。

すれ違う人に気にされるのも嫌で、
ときどき泣くのをこらえた。

誰もいない夜の公園に着いて
誰もいないベンチに座った。

ふと見上げると、

遠くの方に一棟だけマンションが見えて
そのマンションから
たくさんの光が見えた。

「あの光の数だけ、人生があるんや・・・」

そう思った。

「あの光の数だけ、人生がある。
 みんな今日を精一杯生きて
 嫌なこともようさんあったかもしれんけど
 なんとか今日を生きて
 寝て
 で、また、新しい明日を迎えるんや。
 その繰り返し。
 みんないっしょ。
 みんな悩みがあって
 みんな毎日しんどいことあって
 それでも
 寝て起きたら
 また新しい明日が始まる。
 そうやって、みんな生きてるんや・・・。」

そんなふうに、どんどん勝手に

僕の脳内で
言葉がループして
胸が高鳴って
どっと涙が溢れて
心がどんどん浄化されていった。


写真は、そんな体験をした日の帰り道に見た満月と
うっすら見える夜の山です。


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