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【読書感想文】11/7

『こんな雨の日に』是枝裕和
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なんだか気の合う、似た者同士のおばちゃんに、是枝監督の『真実』を観にいかないかとお誘いいただいた。嬉しい。

観終わったらメシでも、なんて話もあったのだが、急きょ初恋のあの人と会うことになった!と、ハート目の乙女にお願いされたので、一旦白紙に。会えることになって、こっちも嬉しい。

『真実』よかったなぁと、ひとりしっぽりビール飲んでたら、「話せた!」との連絡があり、合流することに。またまた嬉しい。

こっちも会ったら話したいことのひとつやふたつ、あるんだぜ。

その日の朝、これ、読んだばっかりで、

やはり天才と天才になれなかった(天才を目指さないと決めた)人たちの物語だ。
そんな物語ばかり読んで、自分が自分とどう折り合いをつけて、残りの人生を生きていくかをよく考えている。

(上記記事より抜粋)

彼女ほど解像度高くはないけれど、こんなボクでも時折考える、

「君みたいな忙しい人生を送っている人は、演劇なんか必要としないんだよ。脚本なんて、他にやることがなくて暇で暇で仕方なくて、それしかできない人が書くものなんだ」。
そう言われてはたと周りを見渡してみたら、健康優良児は私だけっぽかった。面接官も受験生も、みんななんだか影がある気がした。「お前は底が浅い」と言われている気がした。
私の小器用コンプレックスは、多分、ここに端を発している。

(上記記事より抜粋)

そう、さとゆみさんと似てるトコは、この小器用コンプレックスなトコだと思う。いや、似てると思ってただけでした。
で、これ見てからの『真実』で、この映画、母娘の苦くも繊細な、優しい映画なんですけど、実は老女優と才能についての映画でもあると思って、そんなこと話そうと思ってたんです。

さとゆみさんが BK と AK で人生変わったように、

ボクはビフォー失恋、アフター失恋で、今まさに、人生の大転換期にいるんだぞ!と。

転勤族だった子どもの頃。そして、だいたいの人がそうであるように、高校いくまでは「お勉強」ができる天才であったこと。そんな素地から小器用を手に入れ、20代を別段努力もせずに生きのびてきた。
30代にもなると、さすがに努力しないと落ちぶれていくもので、(それでも努力もせず)その場をなんとか茶化して逃げのびていく、アジア1の子分肌を標榜していくことに。
さとゆみさんみたいに解像度高く考えて考えてる人や、もっとストイックなトコだと、南キャン山ちゃんとか、

こういう人たちだけが、才能とか、何者かになりたいとか語っていいんですよ。

で、40。逃げてばっかり、自分ばっかり、というところを突かれて大失恋してメンヘラになるわけなんですけど、
輪をかけてやる気を失い、陰をまとい、心だけはちょっとしたことでずっとズキズキするこの感じ、おや?もしかすると小器用にさえなれない自分は何者かに・・・

いやいやいやいや、あんたは『人間』よりこっち読んだ方がいい!って、渋谷のツタヤのレジまで連れてこられて、本を持たされたおっさんは、三茶で降ろされポツンとなりました。。

クソ長い前フリすいませんでした。。

で、『こんな雨の日に』是枝裕和

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本当に努力も考えることもせず逃げてきた自分は、とにかく打ちのめされた。BKAK である(いや、こんな軽々しく使ったら、さとゆみさんに申しわけないな。。)

自分には才能がないだの、努力することも才能のひとつだの、そういうこっちゃないんですね。ただずっと積み重ねて、続けていくこと。生きるということがそういうことだよ、と教えてくれるような本でした。

是枝監督の日記は、ただその日の「真実」を書き、
(出来事や思いを、ウソなく端的に書いていると感じました)
そこに対して「反射」する。
その反射が本当に思慮深くて、「誠実」で、そう、誠実だなと。あと・・・

そういえば以前、さとなおさんに言われたことのひとつに、「ゆっくり」でいい、というのがあり、そのときはうまく消化できなかったんですけど、この本を読んで、ちょっとだけ理解できた気がしました。

ものをつくりたいなら、ずっと、誠実に、考え続ける、ゆっくりと。
伝えたいなら、ずっと、誠実に、聴き続ける、ゆっくりと。

監督の思慮深さたるや、とにかく深淵で、とにかくとにかく映画を観ている。本の中に何本のタイトルが出てくるか。

勉強することを怖がって、そのままの自分で立ち会おうとする人が多いが、その怖いところに行って、いったん型に入ってみることが大切。リスクをとらないとずっとプールサイドに座っているだけになる。

出てくる人出てくる人がずっと目頭を熱くさせるし、次の一歩を出すところと、その次の一歩の歩幅を教えてくれて、その足元を照らしてくれる、すごく優しい本でした。

いま、今年中に出せるかなぁ、というものを好きなクリエイターさんたちにお声がけさせてもらって、つくっている。
まだメールのやりとりがメインだけど、本当に楽しい。
あと、ひとつ、ふたつ、世に出せるといいなぁ、というものを動かしている。こっちもものすごく楽しい作業。

ずっと、誠実に、考え続ける、ゆっくりと。

優しいといえば、「お前はこの本を読んだ方がいい」とオススメしてくれた恋する少女さん。
「お前」のことを考えてくれていないと選べないだろうし、「オススメ」なんてそれこそ気にかけてくれていないとないだろうし、本当に感謝しています。嬉しかったです。
まだまだ尊敬がやまないので、顔出します。

また飲みましょう。

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