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うつむいて、散った桜をみながら歩いていた。

春になり、これから大学の入学式や新入生らしき人たちを見かける季節になった。
僕は当時、1年間浪人生活をしたのち、特に思い入れのない大学に入学した。
(一応はやりたい学科があったけれども)
そんな大学に冷めた気持ちながら、まだトキメキが残っていた新入生のはじめ、僕はどのサークルにも入ることができなかった。
そして、最後までサークル仲間ってやつを作ることが出来なかった。
大学のクラスでは顔見知りは増えたが、毎日つるむような連中は最後まで出来なかった。
元来の人見知りもあって、コミュニティの中でスタートダッシュに遅れた僕は、ずっと周回遅れを走りながら、楽しそうな先頭の群を見ていた。
そしてその後も大学生活に苦手意識をもってしまい、4年生になるまで友達を積極的に作ることができなかった。

ただ入学したての頃に毎日思っていたのは、「本当は友達が欲しいんだよなぁ。。。」ということ。
僕は入学当時気になっていた「釣りサークル」に入っていれば良かったとよく思っていた。
そこでできた友人や先輩と仲良くして、授業はまあまあ受けて、夕方からはサークルで、夜は飲んで終電を無くして、下宿している友達のウチに泊まって、なんやら夢や人生を語って、翌日遅刻して講義を受ける、、そんなことがしたかったのだ。
もっと言えば、夏休みはサークル合宿して、海釣りして、捌いて調理して、美味しく食べて、お酒飲んで、先輩とも話して、夏までに何となくいい感じのサークル女子と距離が近づいて、、、そんなこともしたかったのだ。

でも結果、まったく上手くいかなかった。
サークルってのは、1年生の初めのタイミングで入るのが一番いい。
でもギリギリ2年の初めくらいなら何とかなるのかな?
とにかくタイミングを逃すと3年生くらいになってスゲー後悔することになる。
そして当然、僕はそうなった。
そこには、今思うと様々な要因がある。
今になっても入っておけばよかったなと思うことを挙げてみる。

1.圧倒的に人脈が広がる
普通に友人が増え、きっと楽しくて過ごしやすくなる。
大学で常に感じていた、知らない人、新しい生活、未知の環境というストレスから開放される。
僕は3年生ごろまでこのストレスで毎日ビリビリしていた。
また今でも友人、知り合い、同僚などの話しを聞いて羨ましいと思うのは、サークルの人たちと卒業して十数年経った今でも交流があるということだ。
そして普通に飲んだり、遊んだり、そこから出会いが広がったりするのはの本当に羨ましい。
正直、そういう大学生ライフを過ごしたかった。

2.就職活動に有利
先輩の就活の話しを聞いたり、希望する業種に入った人が入れば参考に聞きやすい。
僕は就職活動で何がしたいのか分からず、1人で迷いに迷った経験から、先輩の話を聞けるってのは有利でしかないと思う。
相談できる人がいるといないじゃ本当に違うと思う。
僕はひたすら辛かった。

3.彼女、女の子と知り合える
僕はサークルで彼女とか、飲み会でちょっといい感じになるとか、本音を言えばそいういうのにスゲー憧れていたし、今でも全然憧れている。
当時はそこに所属できない自分を正当化して、楽しんでいるヤツらをとことんディスっていた。
心の中でディスり続け、彼らを呪えるだけ呪っていた。
ホントは僕も女子といい感じになりたかったのさ。。。

4.友達や多様性を知れる
仲のよい友人ができるだけでなく、様々な出身地、経歴、背景を持った人が集まるのがサークルの面白いところなんだろうと思う。
学科の友人って、やはりどこか背景や好みが似ていたりして、特別目を惹く存在ってのがいなかった。
プライドだけ高い非モテ理系男子はどこまでいっても非モテ理系男子だった。
僕が4年生のときに全く関係のない文学系の授業を受けて、そこにいた人と一時仲良くなった。
彼は文学部に在籍していた、背の低い竹野内豊のような感じの人だった。
全然違う学科の人の話は新鮮でとても面白かった。
文学部には彼のお勧めの美人教授がいて、二人で年上女性の魅力について語り合ったのを覚えている。

今思うとサークルって本当にいい制度だと思う。
もちろん当たり外れはあるだろうけど、僕のように飛び込めなかった側からすると全てが青春の1ページって感じでキラキラしている。
でもそんなサークルのノリが合わないならば、他にも楽しむ術はあると思う。

1.実行委員会の手伝いなどの校内活動
人から聞いた話だが、サークルの雰囲気に馴染めない人も少なくないようだ。
そしてそういうタイプで、でも大学で何かやりたいタイプの人は、実行委員会の手伝いなどお勧めする。
そういうちょっとマジメ系のコミュニティーに所属すれば、やりがいも感じられたのかもなと思う。
あとサークルよりも遅い時期になっても、新規で所属するハードルは低めなのかなと思っている。
当時同じ学科の友人が、実行委員会で知り合った別学科の友人の話をしていて、なんだか楽しそうに感じたことを覚えている。
でも結局僕は、そういうのにも入らなかったのだけれど。

2.アルバイトを頑張る
大学以外での出会いといえば、アルバイトが一番大きいと思っている。
そこでは他校の大学生だけではなく、高校生やフリーターの人、社会人の人たちと知り合える機会がある。
そんな人たちは、大学では出会えないような素敵な人もいるかもしれない。
だからこそ、自分に合った、ちゃんと楽しそうなアルバイトを探すべきだと思う。
僕はコンプレックスが強く人前に出られなかったので、清掃のバイト、居酒屋の調理、交通整備や警備員のバイトをやっていた。
確かにそこで出会えた人たちは様々な背景を持った個性的な人が多かった。
30過ぎの売れないバンドマン、正社員なのにギャンブルで借金持ちのおじさん、エッチなビデオに脇役で出演している童顔の40過ぎのおっさん、などなど。
だけど僕はそんなおっさんたちじゃなくて、女子と出会いたかった。
なんで僕のバイト先には変なおっさんしかいないんだ!と思っていたけれど、それは僕の選び方が特殊過ぎたんだと思う。
スタバでバイトすれば、笑顔の可愛いショートカットの大学生とも知り合えたかもしれない。
(当時スタバは日本に上陸して数年であり、店舗はまだ多くなかった。)

そして僕のようなコミュニケーションスキルに問題がある人たちには以下のような手段があると思う。

1.SNSを活用して外に求めよう
僕の時代はそこまでSNSが発達していなかったけれど、キャンパスライフに活路を見出せなかった僕は、大学2、3年ごろからインターネットを通じていわゆる「オフ会」に参加していた。
当時はオフ会も一部のネット好きにしか通じない文化ではあった。
しかし僕は、そんなアングラなコミュニティでもいいから何かに所属したかったし、人と交流したかったのだ。
そしてそこで知り合った人たちは、どちらかと言えば大学や社会のメジャークラスに溶け込めていないタイプが多かったため、共感や劣等感や同属意識によって急速に仲良くなれた。
今ではSNSでコミュニケーションをとること自体が一般的になっているし、昔に比べてそこで様々な人に出会える確率は非常に高いと思う。
ただ今は、「オフ会」とわざわざ言う事も無いほどに一般化されている印象がある。
ネットで人と交流しようとする事が今では一般的になっているため、普通のコミュニケーションスキル高めの人間が来て凹むって事もあるだろうけど。

そういうのも苦手な人はどうするべきか。
僕もオフ会の人間関係に疲れて、結局はそれも段々と参加しなくなってしまった。
そんな人の最終手段は以下のようなものだと思う。

1.1人でいるのも悪くはないと思う
僕は大学の中で、親友と呼べる人に出会えることがなかった。
いつもどこでも、そんな存在をずっと求めていたけれどもダメだった。
でもそういう悩み多き日々が、良くも悪くも今の自分を形成しているとは思う。
ひとり学生食堂で、340円の冷えたフライ丼をモサモサと飯を食うのも悪くはない。
卒業してから僕のようにあーすれば良かったとジタバタ後悔するのだって悪くはない。
僕は学生生活に大きな後悔があったからこそ、今の自分に良い影響を及ぼしているとはっきり言える。

とはいえ、若さは素晴らしい。
無敵に思える若かりし頃は、イキっても、オタクでも、特徴のない普通でも全てに価値がある。
何かに燃えても、何もしなくってもいいと思う。
でも今思うと、若いエネルギーに満ちながら、こんなに選択肢があるベストなバランスを手にしている期間って、もう今後恐らくないと思う。
定年になってリタイア後に好きなことができるのと、訳が違う。
そんな超貴重な瞬間に居るってのが、当事者たちには現在進行形ゆえに分からないんだろうけども。
だからこそ、もうそこに居ない自分にはとても輝いて見える。
良いねぇ。

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