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海外(カンボジア)ビジネスで大切な事は全てサーシャに教わった⑩コンペ勝ち進む

翌日、昨日の資料を見栄え良くまとめ、NDA、会社案内、クライアント情報をメールした。

数日後に、一次審査通過のお知らせと二次審査のメールがきた。

二次審査は、企画書の提出。具体的に何をどうやって実現し、いくらかかるのか。
今日までサーシャは孤児院で働いている。
土日を使って、企画書を仕上げるつもりだ。

土曜日、朝、サーシャが指定したのは、ボンケンコンという外国人が多く住むエリアの、オーガニックカフェだ。
そして、ピールンとハリスもサーシャの指示で集合した。
土曜日はいわゆる半ドンなので、12時までは業務時間である。

珍しく眠そうな顔でサーシャがあらわれた。
「昨日は、子どもたちが、お別れ会をしてくれて、名残り惜しくて泣いちゃったの。
なかなか夜も寝付けなくて。。
でも大丈夫。もう切り替えたから」

僕はパッションソーダ、サーシャはフレッシュスイカジュース、ハリスはアイスカフェオレ、ピールンは水を頼んだ。

「今日はここで、お昼までみんなブレインストーミングをしましょう。そのあとハリスとピールンは残業して一緒に具体的に落とし込んでいくの。私の担当の資料作りはあしたまでにまとめるからムハンマドはそれをチェックして」
サーシャは、言った。

「ブレインストーミングは、このプロジェクトを成功させるために私達にできることを自由に言い放つこと。ルールは厳格よ。
1、批判しない
どんな意見も絶対に否定しないこと

2、アホな意見、突拍子もない意見ほど歓迎
常識にとらわれるな、爆笑される意見を出そう
3、質より量を重視する
とにかく無責任に言い放つ
4、他人のアイデアに乗っかり連想する
 
前の人に便乗大歓迎
5、相槌を大げさに打つ
へえ、すごいね!、さすが、やるな!など相手が気持ちよくなる相槌をみんなで言う

これを守って時間内にどれだけ意見を出すかが、勝負。
ちょっと練習しましょう」

お題は、、ハリスなんかアイデアある?
「では、ボスが日本人なので、カンボジアに日本人が、もっとくるためには?」

「いいお題ね、ではさっそくやってみましょう、3分間みんな思いつくまま言いっぱなしね、用意スタート」

日本食レストランを増やす、そうだそうだ!
日本語表記、うんうん
税金免除、すげー
イオンモール増やす、確かに!
日本のテレビ番組誘致、みたいみたい!
日本でカンボジアの番組やる、でたいでたい!
日本人をみたらみんなでほめる、いいねー!
日本人をみたら1ドル寄付、ほしい!
日本人をみたら幸せになるという噂をながす、最高!
日本人がカンボジア国籍取るのタダ、よっ!
日本人土地買える、いいなー!
カンボジア人が日本語はなす、あじのもと!
カンボジア人が寿司食べる、おいしー!
結婚相談所、はやくー!
大学連携、うちのから!
クメール語テストで合格者は旅費タダ、うらやましい!・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「すごいじゃない!みんないい感じ。では、何回か練習して本番やるわよ」

そうして、午前の部が終わり、
有機野菜を使った意識高い系ランチをみんなで食べてから、午後の時間で、出た意見をもとにプランを作り、予算を決めていった。
ブレーンストーミングは盛りあがったけど、この具体的なプラン作りはまったく笑えなかった。実際やらないといけないことが明確になるからだ。

午後5時、さすがにどっと疲れた。

翌日、日曜日、朝9時にメールをみると、サーシャから企画書と見積もりが送られてきていた。

内容は素晴らしい。昨日の話を短時間でこんなに仕上げたんだ!
だけど、これ本当に決まったらうちでやりきれるのか?
サーシャにその不安をぶつけたら、明日オフィスで話をすることになった。

そして、月曜日。
サーシャは定時にきた。
さっそく企画書について、議論した。
この段階は、経営者である僕と担当のサーシャのふたりの議論が望ましい。
サーシャは理詰めで僕の話を却下するかと思ったら、意外にも受け入れ、ところどころ修正した。
しかし、まったく気づかなかったが、気づいたら何も食べずに一日が終わっていた。それくらいサーシャに対して真剣に意見をぶつけていたのだろう。
脳がかなり疲れたので小学生並みに早く寝た。

一週間後
2次審査通過と、企画書と見積もりに対しての質問と要望をもらう。

数日かけて、またサーシャと議論し、修正案を検討→メールで回答。

一週間後
ついに、最終2社に残った旨のメールがきた。シムサン電子シンガポールからプロジェクトの責任者がうちのオフィスにきて、最終プレゼンをすることになった!どうしよう!

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