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麦野菜摘
2020年11月15日 15:36
遠くに見えるあの子の着ているスカートが、あまりに鮮やかな赤だったので、道に迷った。いつもの散歩道をいつもどおりに歩いていたつもりが、なぜか見慣れない森の中にいる。ついさっきまで陽炎が揺らめいて、アスファルトから湯気が立ち上るほど暑かったのに、森はすっかり紅葉していて、煤けた落ち葉が足元でサクサクと鳴った。道というより、水のない大きな川の中にいるようだった。赤や黄色、乾いた茶色が敷き詰め