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麦野菜摘
2020年12月23日 08:33
ファースト風土の店でもらったケチャップの容器の赤に君の瞳はよく似ていた海に行くための青いオープンカーの開いた天井はちょうど僕の空虚のサイズ立入禁止の夜を黄色と黒で囲っても簡単に飛び込んできた君をどうしても逃がせないと思っていたけれど君は簡単に飛び出してしまった誕生日もクリスマスも嫌いだった花束も喜ばなかったそれは多分君は人魚で触れると枯れてしまうから僕が
2020年10月31日 00:12
空気を水彩絵の具にして塗ったのは、空と雲の境目の掠れたブルーグレー。マカロンカラーの水玉がバウンドする、ギモーヴの雨降り。少女狂気、少年はただ夏の一瞬、晴れすぎた日の黄緑の草むらの中で大人びて相容れない二人は最期の時だけ隣同士。カレンダーに一房垂らした前髪が秋の日に目印の線を引く。どの木を庭に植えても、どの鳥の声を聞いても、きっと同じようにここに来ていて、同じ壁を見ていた。
2020年10月26日 12:23
魔法だ。君は結界を育てている。シャラシャラと軽快に枝葉を伸ばした光が柔らかいドームを作って、たくさんの衛星が飛び回って、世界に間違いがないかをチェックしている。確認すると満足気ににっこりと笑う。「あなたに魔法をかけました」「あなたは3日後に、死んでしまうはずだったのですが、魔法で助けてあげました」「だからもうだいじょうぶですよ」海の底も空の上も、ここから10,000メートル
2020年8月20日 08:02
僕の家は海の底にあって、どこまでも涼しく揺れる群青色の中の鍵。落ちた星を目印にして。小指の先に貝殻、ほの甘い香りの珊瑚、今朝夢を見た僕だ。広がる言葉の後を追う、潜水艦は誰のもの。火花が弾ける水の中、 声をつぐんだ秘密の色。りりりりりりりり音が聞こえる、聞きたかった音だ、話し相手を探していた、もう長いこと。ヘッドフォン。闇夜が入り込まないように、ひそかに沈んでいった、シーツを