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家のこと⑥紆余曲折の続き

親友Kちゃんちの近くの家を泣く泣く諦めた私。

家探しを再開するにあたり、あらためて自分の心とじっくり向き合うことにした。なぜ私はKちゃんちの近くのあの家にご執心だったのか。それは夫に聞かれたことでもあった。

畑が出来るくらいの庭があること、道路からフラット、自転車や徒歩で行ける範囲に買い物や病院等の生活に必要な施設があること…

これまでの物件探しでの希望を満たしているのはもちろんだけど、でもKちゃんちに近いということがなによりも大きかった。

じゃ、もしあの家がKちゃんちの近くじゃなかったら?

うーん、庭が広くていいなとは思っただろうけど、でもKちゃんちの近くってこと以外では、あの地域に思い入れはないなしぁ。そう思い至るとなにかすーっと腑に落ちた。あぁ、そうか、Kちゃんか。

私は心細さを感じてたのかな、夫の体調のことでずっと気を張ってきたから。そのことを話せる人、Kちゃんが近くに居てくれる暮らしに安心感を感じたのかもしれない。

そうだとしたら、その選択は違うと思った。

そもそも誰かやなにかに依存せず生きてゆけるように、と今後の暮らしを考えていたはず。自分ひとりでもそこで暮らしたいかどうか。まったくの、まっさらの、自分の気持ちだけで。

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ずんずんと自分の中に沈み込んでいって、心の奥の、よけいなものが届かない場所に座り込むようにして考えた。静かな湖の底のようなところ。そこにはぽつんと私だけがいて、ゆらゆらと湖面から届く光を見ている。そうしているうちにぼんやり浮かんでくる。

森のような、木々がたくさんあるところ。静かで空気が澄んでいて、高く大きく広がる空。そんなところで暮らしたいなって思ってたんだよね。あぁ、そうだった。

このコロナの流行で見学を延期してた場所があった。そこに行ってみようか、最初の気持ちに戻って。

⑦に続きます。

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