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【本紹介】提案に必要不可欠な「ピッチ」とは結局何なのか?

HR領域では会社説明会スライドのことを「採用ピッチ」と読んだりします。
いや説明会資料でいいじゃん、と未だに心の中では腑に落ちてませんが。
この本は「ピッチ」という言葉が頭の片隅に残ってるときに出会ったものです。

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■この本をおすすめしたい人

・これから事業やプロジェクトをスタートする人
・新規事業に携わる人
・自分のプロジェクトが何か上手く進んでない人

この本はデジタルガレージ運営の「オンラボ」(オープンネットワークラボ)というスタートアップ企業の支援や成長事業を行う取組みから生まれたメソッドが詰まっています。
最近CMで見かける「SmartHR」もこのオンラボ出身らしいです。

そんな新規事業の誕生ストーリーをヒントに、相手の心を突き動かす事業のヒントが提供されます。

▼本の構成
第1章 ピッチとは何か?
第2章 スタートアップがピッチで「人を動かした」事例
第3章 ピッチで人を動かすために/アイデアの具現化
第4章 ピッチの組み立て方
第5章 オンラボ卒業生インタビュー
第6章 未来を切り拓くピッチ


■そもそもピッチとは何?

ピッチ=相手の決断を引き出す提案方法、人を動かす提案と定義されています。
プレゼンテーションとの違いは、あくまで相手の決断を促すことが目的で、プレゼンよりも短い時間かつ相手に予備知識が無くても決断を促してもらうだけの分かりやすさ、簡潔さ、メッセージ性の強さなどが求められます。


■相手を引き出す提案のための種=アイデア

提案の前に、まずはアイデアの中からいかに価値を見出して事業として育てていくかが大切です。

本著では価値を見極めるフレームワークとして下記を上げています。
・誰の
・課題
・解決する
・なぜ今
・既存代替品
・市場規模
・なぜあなた

これはフレームワークでもあり、事業にすべきかどうか判断するチェックシートの役割も持っています。これを満たすものが相手の心を動かすと述べられています。
第2章では具体例としてSmartHRが載っています。

SmartHRのフレームワーク
・誰の:総務経理
・課題:労務管理の煩雑さ
・解決する:クラウドサービスによる代用、簡略化
・なぜ今:トレンド、市場状況
・既存代替品:自分で頑張る、社労士に依頼
・市場規模:人事業務アウトソーシング市場、市場に対しての利用率の低さ
・なぜあなた:産休時の手続きの面倒さを何とかしたい!企業にとって時間とコスト面から導入メリット高い

実際の発表資料では、妊婦が書類と格闘する写真をスライドに使用するなど、どれだけ面倒なのかビジュアル化させるデザインにすることで聞き手に「自分ごと化」させることもプラスに働いています。

ほかにも宿泊予約の権利売買サービス「cansell」や薬剤師の業務効率システム「プレカル」も紹介されています。
アイデアから事業として育っていく過程を垣間見ている気がしていて、事業責任者じゃなくともわくわくしますので、他の事例もチェックしてみてください。

■新しいことを実現するために

本著では「自分のアイデアを疑える人が、アイデアを成功させる」という言葉が出てきます。
自分のアイデアを信じすぎないところが発明家と事業責任者の違いなのかな。もちろん発明家も誰もが驚くものを世に生み出せば別ですが、アイデア止まりでくすぶってるとしたら「疑い」が足りないのかもしれません。

疑うポイントが3つ紹介されています。
・そのアイデア実現を望む人がいるのか?
・そのアイデアを実現する方法を持っているか
・そのアイデアの実現する方法を自分はやり遂げられるか

これを検証する方法として、ペルソナ設定やインタビューなど効果分析の方法も紹介されています。


■ピッチの正しい準備とは?

後半では、提案するまでの準備に必要な具体的なTODOまで紹介されています。
ただ、一番強調して伝えていることは、「人の心を動かす提案とは、言いたいことを語るのではなく、相手の思考と感情の流れを見据えて話すことが重要」ということです。

相手に伝わることがゴールではなく、相手の決断を促すことにこだわることこそがピッチなんです。

そう思うと、世の中の「採用ピッチ資料」はまがいものがずいぶん増えたな…とショックも受けますが、新規事業といわなくても日々の仕事やプレゼンの中に落とし込めるヒントが詰まった本なので、行き詰ったときのアイデア帖として重宝しそうです。

▼読書メモ(2月に読んだのにアップするの放置…)

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目の前の仕事の忙殺される毎日ですが、自分が任されているものに対してここまで突き詰めて頭使ってるかな?と考えさせられました。


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