『桜姫東文章』の話~下の巻~

どうも、私です。

今日は、「初めてのシネマ歌舞伎の話 下の巻」をします。

お付き合い下さい。
(↓上の巻はこちら)

『上の巻』から数日経ち、『下の巻』が公開となったので、早速姉と映画館へ出かけた。


※超絶怒涛のネタバレが始まるので、ご注意下さい。


  • 「前回までの桜姫東文章は」

開幕して間もなく、舞台番(説明係)が登場し、
「これから下の巻をご覧頂く前に」
と『上の巻』のあらすじを説明してくれるので、万が一見逃してしまっても大丈夫な設計になっている。
その時に、『上の巻』でのハイライトが流れるのだが、何度見てもやはり『孝玉(仁左玉)』は、とんでもなく美しい。


エッッッロッッッッ!!←


そう心の中で叫んでいるうちに、『下の巻』は始まった。


  • 猛毒、青蜥蜴

清玄の元弟子・残月は、桜姫付きの局だった長浦と関係を持っていた為、主君達と同じ不義の罪により追放され、2人で同棲していた。


お前らもかよ。


と思うかもしれないが、『上の巻』で2人の関係は描かれていたので、苦笑交じりに見ていたのも束の間、2人の同棲する庵室に横たわる人影があった。


清玄だ。


赤ちゃんを連れて、やって来た清玄は病に臥せつつも、赤ちゃんを育て、桜姫を想っていた。病人の看病と赤ちゃんの養育に、残月と長浦は頭を悩ます。
そこにやって来た武家の妻が、「自分も子供を亡くしたばかり」と赤ちゃんの養育を申し出て、連れて帰っていく。これで心配事がひとつ減ったと思った矢先、清玄が懐にある包みを出しては、

清玄「桜姫に、会いたいな……」

と言っているのを見た残月。

残月「あれ、お金じゃね?」

長浦「え、欲しい」

残月「よし、青蜥蜴の毒で殺すか」

少し前に来ていた客が、「値打ちがないなら」と捨てて行った青蜥蜴が入った包みを見つけた残月は長浦と結託して清玄殺害を企てる。


煩悩の塊やないか。


残月「清玄様。お薬の時間ですよ」

清玄「薬はいいよ…。飲んでも、一緒だもん…」

長浦「ひと口だけでも」

清玄「気持ちだけで十分だからいいよ」

残月「黙って飲め!」

毒を飲ませたい残月と争っているうちに、青蜥蜴の毒が顔に掛かり、半面に青あざが出来てしまう清玄。その後、残月の手によって絞殺され、懐にある包みの中身を見てみると。

残月「あの時の香箱やないか!!」

長浦「殺した意味!!!!」


清玄、可哀想。


2人は墓堀になっていた権助を呼び、墓を掘らせることに。


  • 再び動く、運命

清玄を殺害して間もなく、残月の元へ人買いが手拭いで顔を隠した女性を連れてやって来た。

残月「お嬢さん、顔を見せて下さ…って、桜姫!?」

そう、桜姫だったのだ。驚いたのと同時に変わらぬ美しさに、ノックアウトされた残月は桜姫に言い寄るのだが、それを見ていた権助が乱入。

権助「俺の女房に何してんだ!」

残月「女房!?」

急展開に驚く残月と長浦に、お揃いの釣鐘の刺青を見せるハートがお強い権助と桜姫。

権助「これが目に入らねえか」

桜姫「人妻に手を出すなんて失礼よ」

と残月と長浦を追い出し、再会を喜ぶ2人だったが、権助は間もなく世間を知らない桜姫を女郎屋に売ろうと相談に出かける。
帰りを待つ桜姫。すると天気が悪くなり、雷雨が降り始める。
ますます不安になる姫。

桜姫「早く帰って来ないかな……」

と口にした瞬間、落雷とともに帰って来たのは。

清玄「私です」

桜姫「!?」

そう、死んだはずの清玄が落雷の衝撃で蘇生。

桜姫「え、どういうこと……」

清玄「とりあえず、話を聞いて下さい」

と清玄は、桜姫がかつて愛した稚児・白菊丸の生まれ変わりであることを改めて説明。

桜姫「…話は分かりましたけど、それで私にどうしろと?」

清玄「…私と、結婚して下さい」

桜姫「ちょっと何言ってるか分からない」

清玄「…分からないなら分からせます!」

と出刃包丁を手にして、心中を試みる清玄と抵抗する桜姫。
揉み合ううちに、清玄は持っていた出刃包丁で喉を刺してしまい死亡。権助が掘っていた穴へと落ちていく。


清玄、可哀想すぎじゃない?


と思っているところへ、権助帰宅。

権助「大丈夫か!」

桜姫「お帰りなさ…!?」

その顔には、清玄と同じ痣が。

権助「どうした?」

桜姫「…いえ、何も」


面白くなって参りました。


  • 風鈴お姫

浅草山の宿屋の主になった権助。
故あって、赤ちゃんを預かって生活しているところに桜姫が戻って来る。
この頃、桜姫は、腕の刺青と貴族のような言葉遣いから『風鈴お姫』と呼ばれ、人気になっていたのだが、そばにいつも清玄の霊がいて、客が離れる為、権助の元に帰されたのだ。


死んでもなお、ハートがお強い清玄。


2人で枕を並べ、清玄について悪態をつく桜姫と、その言葉遣いのたどたどしさに微笑む権助。


たったそれだけなのに、なんて美しいんだろう。


と思っていると、権助を呼ぶ声が。

男「寄合があるので、来て下さい」

権助「もし、幽霊が出たらこの刀でやっつけちまいな」

そう言って、刀を預けて寄合へ出かける権助。部屋には、赤ちゃんと桜姫だけになり、行燈に火を点けようとした矢先、清玄の幽霊が現れる。

桜姫「しつこいね、あんたも」

清玄「実は、私と権助は兄弟なんです」

桜姫「はい?」

清玄「そこにいる赤ちゃんは、あなたの子供です」

桜姫「え?」

清玄「もっと言うと、権助は「忍の惣太」という盗賊です」

桜姫「情報量が凄い」

衝撃の事実に困惑しつつも、清玄を権助の刀で追い払う桜姫。そこへ、ベロンベロンに泥酔した権助が帰宅し、桜姫は、彼と晩酌を始める。その時、彼の懐から落ちた密書には、『忍の惣太』の文字。

清玄の話は、本当だった。

酔いが回った権助は、自分の過去を話し始める。

権助「昔、悪五郎っていう男と手を組んで、ある良家の家宝を盗んだんだ。その時、その家の主と12、3歳の男の子を手に掛けた。確か、梅若とか言ったかな。それから、俺は今の名前になったんだ」

桜姫「…間違いないね?」

権助「間違いねぇよ。…なーんて、嘘だよ笑」

と姫からの酒を断り、爆睡し始める権助。
疑惑が確信に変わり、権助の懐を見ると吉田家の家宝が入っている。

桜姫「…お父様と弟の仇やないかぁぁぁぁぁぁ」

中身を確認した姫は念仏を唱えた後、憎き男との間に出来た赤ちゃんを殺害。
その後、爆睡している権助も手にかけて、仇を討った。


  • 桜の木の下で、大団円

浅草神社での祭礼の日。
吉田家一行の助けもあり、追っ手から逃れ、家宝を取り戻した桜姫は、殺害をしたという事実から自害しようとするが、大友常陸介頼国(片岡仁左衛門さん、まさかの三役目)が家宝を確認した上で仇討ちを褒め称えた後、桜姫、吉田屋一行、頼国が一堂に会して、

「東西 まず、今日は これぎり」

で閉幕となった。


映画館の灯りが点くその瞬間まで、私達は放心状態。
『孝玉』の完全なる虜となっていた。

姉「ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがt…

私「お姉ちゃんがバグったwwwww」

姉「何あの、内容の濃さ」

私「半端なかったね」

姉「何あの、仁左衛門さんの色気」

私「玉三郎さんは美しいし」

姉、私「エッッッロッッッッ」

そんな感想を言いながら、私達2人の初めてのシネマ歌舞伎は幕を閉じた。


エッッッロッッッッ!!!!!!



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