『桜姫東文章』の話~上の巻~
どうも、私です。
5月ですな。
というわけで(?)今日は、「初めてのシネマ歌舞伎の話」をします。
お付き合い下さい。
◆
前回鑑賞した『東海道四谷怪談』から、私達姉妹はすっかり歌舞伎の虜になっていた。
そんなとき、姉から提案されたのが、『シネマ歌舞伎』だ。
月に1度のペースで様々な作品を映画館で見ることが出来る、私達のような歌舞伎初心者や数多の作品を見てきた歌舞伎プロ(?)に大変優しくありがたいシステムだ。
そして、今回選ばれたのは。
『桜姫東文章』
主演は、片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの通称『孝玉』(仁左玉とも呼ばれる)。
しかも、このお2人による『桜姫東文章』は36年ぶり。
見るしかないやろ。
『上の巻』『下の巻』の2部作の今作。
今回は、『上の巻』をメインに話そうと思う。
※ここから先は、完全なネタバレになりますので、ご注意下さい。
開幕早々、稚児・白菊丸(坂東玉三郎さん)との道ならぬ恋に悩み、心中しようとする僧侶・清玄(片岡仁左衛門さん)
お互いの名前が刻まれた香箱の蓋と箱を交換し、
「生まれ変わったら、夫婦に」
と約束し、稚児ヶ淵に入水する形で心中しようとするも、先に身を投げた白菊丸の後を、躊躇った為に追えずに終わる清玄。
え、心中な上にBL!?
…でも、まあ美しいからいいでしょう!←
と呆気にとられている間に、時は17年後に。
この心中事件が、大きな騒動を巻き起こしていく。
桜のように美しいだけではない、桜姫(坂東玉三郎さん)
桜のように美しいから、とそう呼ばれている吉田家の息女。
父と弟を悪党に殺され、家宝まで奪われてしまった彼女には、悩みがあった。
それは、1年前に出会って以来ずっと、恋しいと想っている人がいること。
そして、左手が生まれつき不自由で拳を握った状態のまま、開かないこと。
縁談もままならず、己を憂い、剃髪を願う桜姫。
そこに高僧となった清玄が居合わせ、念仏を唱えたときに奇跡が起きた。
姫の左手が開き、「清玄」と書かれた香箱が出てきたのだ。
清玄「…白菊丸の生まれ変わりやないかぁぁぁぁぁ」
と口には出さずとも気づいてしまった事実に愕然としつつ、その場を去る清玄。
桜姫もその背中を見送り、草庵へ向かうのだが。
この後、草庵で待つ再会が、彼女が美しいだけの姫様ではないことを知るきっかけとなる。
あらゆる悪に手を染める男、釣鐘権助(片岡仁左衛門さん)
家宝の行方を追う姫の元許嫁の悪五郎(名前からして悪人←)から、縁談を求める艶書を預かった権助は、草庵にいる桜姫を訪ねて、出家を思いとどまるように説得。折れない姫や腰元達に落語を聞かせているうちに、笑い声も起きるようになったが、彼の二の腕に刻まれた刺青を見た瞬間、姫の態度は一変。腰元達を退場させると、権助をそばに呼び、
桜姫「これ見て給う」
と照れ臭そうに自身の二の腕を見せる。すると、そこにあったのは、権助とお揃いの釣鐘を模した刺青。
そう、桜姫が恋しいと思っていた男は権助だったのだ。
1年前、桜姫の屋敷に侵入した権助から暴行を受けて以来、そのことが忘れられずにいた桜姫は自身の二の腕に唯一の手掛かりとなった釣鐘を模した刺青を彫ったのだ。
それだけではない。何と、桜姫。
権助との間に出来た子供を、産んでいたのだ。
いや、桜姫。クレイジーかよ!!!!
再会を喜んだ2人は、抱き合い、愛を確かめ合う。
このシーンが、またエロい←
その最中、清玄に仕えていた僧・残月に見つかってしまい、権助は姫を置いて草庵から逃走。
悪五郎から腰元達からみんなが出揃う騒動となるのだが、姫は権助のことを一切言わない。
清玄も騒ぎを聞きつけて駆け付ける始末。
そして、出された結論が。
悪五郎「清玄やな」
残月「そばに落ちてた香箱に、名前入ってるし」
さすがに、姫は否定するかと思いきや。
桜姫「清玄様に、襲われました」
え、清玄、関係ないやん。
否定しろ、清玄。
清玄「私がやりました」
どういうことだってばよ。
追放処分になった清玄と桜姫
処罰され追放された上に、権助との間に出来た赤ちゃんが帰って来て、今後の不安を口にする桜姫。それに対して、清玄は。
清玄「白菊丸の生まれ変わりである姫様を、今度こそは幸せにします。夫婦になりましょう!」
桜姫「ちょっと何言ってるか分からない」
結婚したい清玄と困惑する桜姫。
そんな姫を助けるどころか、自分の屋敷に拉致しようとする悪五郎と阻止したい吉田家家臣・粟津七郎と桜姫の弟・松若。悪五郎が『忍の惣太』という悪党と手を組んでいるのを知った2人が、その証拠となる密書を巡って、悪五郎と争っている間に桜姫は、破れ落ちた自身の着物の袖をそのままに逃亡。
赤ちゃんはというと、巡り巡って清玄の元に渡った。
雨の降る中、すれ違う清玄と桜姫
数日後。
桜姫の着物から破れ落ちた袖で赤ちゃんを包みながら、桜姫を捜し歩く清玄。
一方の桜姫も破れ傘を差しながら、彷徨う。
同じ場所にたどり着いた2人。
しかし、清玄が焚いた火を雨が消してしまい、互いを認識できそうで出来ないまま2人は別れ、『上の巻』は閉幕した。
見終わった後、私達はその充実さと美しさとエロさにため息を吐きながら、劇場を出た。
姉「続き、気になるぅぅぅぅぅぅ!!!!」
私「続きは気になるし、2人共美しすぎるぅぅぅぅ!!!!」
姉「芸術的なエロを、ありがとうございます!!!!!」
私「渾身の叫びwwwwwww」
ちなみに、本編が始まる前には仁左衛門さんと玉三郎さんの特別インタビュー映像があって、作品や役作り、お互いへの印象について語るお2人の柔らかい笑みの向こうに後光が差しているように感じて、もう美しいったらなかった。
『下の巻』に続く!
よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧