『廓文章 吉田屋』の話
どうも、私です。
今日は「第3回 シネマ歌舞伎の話」をします。
またかって、思ったやろ。
お付き合い下さい。
◆
前回の終わりに言っていた、
「ハッピーエンドの片岡仁左衛門が見たい」
という願いを叶えたい私達姉妹。
姉「むぎちゃん!」
私「何ぞね!」
姉「今度のシネマ歌舞伎は、ハッピーエンドですよ!しかも、主演は」
『仁左玉』じゃぁぁぁぁぁ!!!!!!
キタァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
私達は、待望の(?)ハッピーエンドかつ、『仁左玉』再来に歓喜。
早速、映画館へと出かけた。
今回の演目は、
『廓文章 吉田屋』
ハッキリ言う。
これだよ!これを求めていたんだよ!!
ラブコメ&ハッピーエンドな「仁左玉」が見たい人は、みんな見て!!!!!!
※ここからは、ネタバレオンパレードです。ご注意下さい。
愛すべき男、伊左衛門(片岡仁左衛門さん)
前回鑑賞した『女殺油地獄』に登場した与兵衛は、本文中にも書いた通り、『愛すべき(ではない)クズ』だったのに対し、本作に出てくる伊左衛門は、『愛すべき男』である。
お金を使いこみすぎて実家である豪商・藤屋からは勘当されてはいるものの、愛している夕霧太夫に会いに、彼女からの手紙で作った紙衣を着て、吉田屋を訪ねるという愛情と純粋さを見せる。
いい男だね、伊左衛門。
迎え入れてくれた座敷の主人や女将に、夕霧太夫の話を聞きたいけど聞き出せなくて、
伊左衛門「あの、元気?えっと、ゆ、ゆ……」
女将「ゆ?」
伊左衛門「察してよ!!」
女将「え?」
と言ってみたり。彼女が、伊左衛門と会えない寂しさから病に臥せていたが、治ったことを知ると、松の間まで様子を見に行き、
伊左衛門「いた!!」
と心から喜んで見せたり。彼女が、別の客と一緒だと知ると、
伊左衛門「止められたって、帰るからな!」
主人「はい」
伊左衛門「本当に帰るからな!」
女将「はい」
伊左衛門「…いや、止めろよ!!!!!」
もはや、コントのようなやり取り。
私も姉も笑いながら、一連のやり取りを見ていた。
これは、愛される男だわ。
美しく、健気な想いを持つ女性、夕霧太夫(坂東玉三郎さん)
伊左衛門「せっかく会えると思ったのに……」
と思ってもいない悪態をついた後、狸寝入りをする伊左衛門。
そこへやっと現れたのは、病鉢巻姿の夕霧太夫。
姉、私「綺麗……」
姿を見せただけなのに、圧巻の美しさに私達姉妹はため息を漏らした。
肩を揺らしても、狸寝入りを続ける伊左衛門。
やっと起きたかと思ったら、口喧嘩勃発。
伊左衛門「夕霧だか、夕飯だか知らんけどな!寝る暇ないくらい俺は忙しいんだから、起こすなよ!俺より、好きな客がいるんだろ!(訳:めちゃくちゃ好きだし、もっと早く起こしてほしかったし、俺が好きだと言って」
夕霧太夫「やっと抜け出して来たのに、何よその言い方!泣(訳:あなたしか好きじゃないことくらい、気づいてよ」
等と思いもしていないことを言っているうちに、2人は互いに想い合っていることを再認識し、仲直り。
この仲直りして、背中合わせで座る2人が美しい。
これだけで見る価値がある←
待ちに待った、ハッピーエンド
無事に仲直りをし、相思相愛となった2人。
そこへ、主人と女将がやって来る。
主人「藤屋から、夕霧を身請けしていいとお知らせが来ました!」
女将「おめでとうございます!」
なんと、伊左衛門の実家から大量の小判が入った千両箱の山が届いたのだ。
藤屋「そんなに好きなら、結婚しなさい。お金ならいくらでもあるし」
ここが、与兵衛と伊左衛門の最大の違いだろうな。
伊左衛門と夕霧太夫は、吉田屋一同の祝福と藤屋からの計らいで、夫婦となり、この物語は幕を閉じた。
姉「美しすぎて死にそう……」
私「気持ちは分かるけど、生きて……」
私達姉妹は、幸福感に浸りながら映画館を後にした。
姉「ていうかさ」
私「ん?」
姉「桜姫東文章のときと言い、今回と言い、『仁左玉』へのインタビュー映像あったけどさ……」
私「うん」
もう、夫婦じゃん。あの2人。
そうだね。
仁左衛門さんが語った、玉三郎さんとのエピソードの微笑ましさ。
玉三郎さんが語った、仁左衛門さんとの絆の深さ。
この2人を超えるコンビは、他には(いるかもしれないけど)いないな。
と私達2人はそう思った。
よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧