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「空飛ぶストレート」

「なんだ?あれ」
午前の得意先回りを終え社へ戻るためビル街の歩道を則之が歩いてると、空から黄金色をした棒状の物が降りかかろうとしていた
(5分前)
そのビルの一室では料理研究家の妙子が今日収録予定の料理の準備でてんやわんやの大忙しだった。それというのも本来5人だったゲストの人数が倍の10人になったとついさっき番組のプロデューサーから電話があったからだ
「そんな急に言われても準備できるわけないでしょ私が使ってる麺はそんじょそこらの安物とはわけが違うのよ全くあのプロデューサーときたらいつもこうして私の都合なんて」とぶつぶつ悪態をつきながら準備していたそのとき、テーブルの角で蹴躓いた妙子は転びそうになり、勢い余って持っていた乾麺を盛大に目の前の窓から外へぶちまけてしまった

バラバラと降りかかる乾麺を鞄で除けつつ則之は「パスタってこんな真っ直ぐだったんだな‥」と一瞬どうでもいいようなことを思った自分に苦笑した

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