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日曜日の朝、肩口の隙間から忍び込む冷気でぶるっと震えながら目を醒ます。今朝は、一段と寒…
桑田孝夫がステーキを奢ってくれると言う。 「珍しいこともあるものですね。今夜あたり、大…
わたしのママチャリは6段変速機付きだ。上り坂だって楽ちんである。 もっとも、今日は用…
地方都市によくある、ひなびたスーパー。ほかの買い物客は、すれ違うどころか、フロアを見渡…
年始めの顔合わせ、ということで、わたしは群馬の親戚を訪ねていた。 「お、むぅにぃ。ひさ…
また、暗い時間に目が覚めてしまった。昼間もずっとベッドで横になっているので、眠りが浅い…
家に戻る途中、とある屋敷の前を通りかかる。庭にはミカンの木が立ち並び、黄色く色づいたミカンを、たわわに実らせていた。 固く閉ざされた鉄格子の間から顔を覗かせ、なんとかしてあれを取ることはできないだろうか、と思案する。 すると、ガラガラと音を立てながら正門が開いた。中から、きちんとした身なりの使用人が現れ、つかつかとわたしの前まで歩み寄る。 「もしよろしければ、お屋敷のほうへどうぞ、そう主人が申しております」使用人はぺこりと頭を下げた。 「いいんですか? じゃあ、お言葉に
この町は、ソーサラー・パネルを使っている家が多い。大気中の魔法元素を触媒にして発電させ…
東京発、山里行きの高速バスに乗る。途中の峠道には野生のトラが生息していて、ふれあいを体…
カエルの騎士は、コンニャクのように体をプルプルとさせていた。 「あのう……もしかして、…
「この先、入るべからず」 狭い試着室の壁に、そんな貼り紙がしてある。 「入るも何も………
靄ヶ丘駅近くの踏切は、めったに開かない。というよりも、開いているところを見たことがなか…
朝食のテーブルに着くなり、母が言う。 「今日はずっと、家にいなさい」 「なんで?」思わず…
熱しやすく冷めやすい、と言うけれど、友人の木田仁なんて、まさにそんな性格だった。 流行り廃りに敏感ですぐに飛び付くが、短期間のうちに飽きてしまう。 「おいら、いま凝ってることがあるんだ」 この日は、文房具店でばったりと会った。 「凝ってるって、肩とか?」あえて、とぼけてみる。 「違うよ、むぅにぃ」真顔で言い返すのだった。「凝ってるっていうのは、そういうことじゃないんだ。夢中になってる、ってことさ。それに、おいら、肩こりじゃないしさ」 のめり込むと深いのは、根が生真面目