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シュールな短編小説

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ファンタジー、そして時にはシュールな短編集。
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2021年7月の記事一覧

霜の降りた朝は

 日曜日の朝、肩口の隙間から忍び込む冷気でぶるっと震えながら目を醒ます。今朝は、一段と寒…

むぅにぃ
3年前
2

ステーキを奢ってもらう

 桑田孝夫がステーキを奢ってくれると言う。 「珍しいこともあるものですね。今夜あたり、大…

むぅにぃ
3年前
4

海上のサイクリング

 わたしのママチャリは6段変速機付きだ。上り坂だって楽ちんである。  もっとも、今日は用…

むぅにぃ
3年前
2

スーパーで遭難する話

 地方都市によくある、ひなびたスーパー。ほかの買い物客は、すれ違うどころか、フロアを見渡…

むぅにぃ
3年前
2

ゴルゴンの末裔

 年始めの顔合わせ、ということで、わたしは群馬の親戚を訪ねていた。 「お、むぅにぃ。ひさ…

むぅにぃ
3年前
2

真夜中の小児病棟

 また、暗い時間に目が覚めてしまった。昼間もずっとベッドで横になっているので、眠りが浅い…

むぅにぃ
3年前
3

ミカンのお屋敷

 家に戻る途中、とある屋敷の前を通りかかる。庭にはミカンの木が立ち並び、黄色く色づいたミカンを、たわわに実らせていた。  固く閉ざされた鉄格子の間から顔を覗かせ、なんとかしてあれを取ることはできないだろうか、と思案する。  すると、ガラガラと音を立てながら正門が開いた。中から、きちんとした身なりの使用人が現れ、つかつかとわたしの前まで歩み寄る。 「もしよろしければ、お屋敷のほうへどうぞ、そう主人が申しております」使用人はぺこりと頭を下げた。 「いいんですか? じゃあ、お言葉に

日替わり魔法使い

 この町は、ソーサラー・パネルを使っている家が多い。大気中の魔法元素を触媒にして発電させ…

むぅにぃ
3年前
4

トラを見に行く

 東京発、山里行きの高速バスに乗る。途中の峠道には野生のトラが生息していて、ふれあいを体…

むぅにぃ
3年前
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試着室の冒険(後編)

 カエルの騎士は、コンニャクのように体をプルプルとさせていた。 「あのう……もしかして、…

むぅにぃ
3年前
2

試着室の冒険(前編)

 「この先、入るべからず」  狭い試着室の壁に、そんな貼り紙がしてある。 「入るも何も………

むぅにぃ
3年前
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開かずの踏切

 靄ヶ丘駅近くの踏切は、めったに開かない。というよりも、開いているところを見たことがなか…

むぅにぃ
3年前
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無題

 朝食のテーブルに着くなり、母が言う。 「今日はずっと、家にいなさい」 「なんで?」思わず…

むぅにぃ
3年前
3

リサイクルにハマる友

 熱しやすく冷めやすい、と言うけれど、友人の木田仁なんて、まさにそんな性格だった。  流行り廃りに敏感ですぐに飛び付くが、短期間のうちに飽きてしまう。 「おいら、いま凝ってることがあるんだ」  この日は、文房具店でばったりと会った。 「凝ってるって、肩とか?」あえて、とぼけてみる。 「違うよ、むぅにぃ」真顔で言い返すのだった。「凝ってるっていうのは、そういうことじゃないんだ。夢中になってる、ってことさ。それに、おいら、肩こりじゃないしさ」  のめり込むと深いのは、根が生真面目